若い放送作家がいつもお腹をすかしている理由

 そんな才能たちと、タメを張らなければならない放送作家もネタ集め(ビジネスで言えば情報収集)に必死だ。私の知っている若者は、いつもお腹をすかした状態でいるという。

梶原:「空腹の方がアイデアが出るの? それとも単に食べるだけのお金がないの?」

放送作家:「いえ。先輩やタレントさんたちが、腹減ってるか? と誘ってくれたとき、いつでも、はい! と本気で答えられるような状態を作っておくんです。はい!と言いながら、ちゃんと食えないようだと、申し訳ないじゃないですか。そういうときにおいしそうに目いっぱい食べるのがおれたち若手のマナーです。こんなふうに、一緒に食事したり、飲ませてもらったときに、会議なんかじゃ出てこないいい話がいっぱい聞けるんですよ」

 ちなみに、彼がもう1つ自らに課しているのは、「ギブアンドテイクの原則」だそうだ。

 「プロデューサーやタレントさんって、ぼくらにとっての大事なクライアントでもあるんです。当然、こっちは『ごち』になるわけですから、何かお返ししなきゃいけない。基本は、自分で集めた若者目線の情報が喜ばれますね。そのためにコアな雑誌にも目を通すし、いろんな業界の若い連中と付き合ってますよ。話だけじゃなくて、話題の小物なんかも現物を持っていると喜ばれる。『iPhone』が話題になったときなんか、とりあえず押さえておきました。それだけで10日ぐらいは話のネタがもちましたね」

 「ヤベッ」「スゲッ」「ハヤッ」くらいしか口にしない印象の若者たちだが、実はあなたよりも知的好奇心が旺盛で、自分に必要な情報を瞬時に入手するスキルを持っているかもしれない。

 そんな彼らは、確かに仕事や人生において経験不足である。しかし、ある部分ではわれわれよりも情報通で視野が広いこともある。だから発想やものの見方も、われわれと違っていて新鮮で面白いのだ。それがあなたのビジネスに生きることだって大いにあり得る。50代のオジサンたちのみならず、30代や40代のビジネスパーソンも、身近にいる後輩たちから学ぶべきだ。

 「まだまだ半人前だ」とか「今どきの若者はまともに日本語がしゃべれない」などと侮っていると、せっかくの彼らの優れた部分を見失う。まずは若者への誤った先入観を捨てよう。

梶原 しげる(かじわら・しげる)
梶原 しげる(かじわら・しげる) フリーアナウンサー。1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーになる。92年からフリーになり、司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員を担当。著書に『すべらない敬語』『そんな言い方ないだろう』『敬語力の基本』『最初の30秒で相手の心をつかむ雑談術』『毒舌の会話術』『プロのしゃべりのテクニック(DVD付き)』『即答するバカ』『あぁ、残念な話し方』『会話のきっかけ』『ひっかかる日本語』『新米上司の言葉かけ』ほか多数。近著に『まずは「ドジな話」をしなさい』(サンマーク出版)、『不適切な日本語』 (新潮新書)がある。