当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2012年8月9日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

 元証券マンが「カードゲーム」で大きく当てて、「アキバの風雲児」と呼ばれているとのウワサは聞いていた。ソーシャルゲームなどデジタル全盛のこの時代に、アナログなカード対戦ゲームブームを巻き起こしているのが木谷高明さん。そのご本人が「新日本プロレス」の株を買って会長の座についたというからますます興味が湧いた。ぜひお目にかかりたいと、私がインターネットで放送している番組『梶原放送局』にお呼びしたら、快くお越しくださった。

 木谷さんの言葉に、私は何度「え?」と驚きの声を上げたことだろう。しかし耳を傾ければ、そこには顧客心理の機微に基づいたビジネスのアイデアがぎっしりつまっていた。そこで今回は、「アキバの風雲児に学ぶマーケティングの極意」をお届けしよう。

(1)「アナログでないデジタルは、人の心を捉えない?」

 デジタルゲーム全盛の時代だからといって、縁台将棋や碁会所のスタイルでカードゲームに興じる人たちを不思議がるのは見当違いだそうだ。

木谷:「ゲームの中心はSNSのような<人と人がつながる>ことが中心になっています。人は、無機質な機械と対戦するより、人間臭いコミュニケーションを通じた出会いの中でゲームを楽しみたいと思い始めています。結局、人は人と、楽しみたいんです」

 木谷さんは日本をはじめ、世界20カ国に人と人とが出会える場所を次々作っている。デジタルで合理化・スピード化が進んだ今こそ、「ふれあいのコミュニティー」が求められているのだという。

 <結局、人は、人と楽しみたい>。

 デジタル時代のヒットビジネスの要諦は意外にも「人が人と交わるきっかけや場所」を提供すること。人が求めるのは「リアルな対人関係の場にあり」。なんだか時代のヒントが見えた気がする。

(イラスト:poosan / PIXTA)
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