当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2016年11月2日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

「つながりやすい電話番号」を教えてください

 先日のことだ。某テレビショッピングを見ていたら「寝ている間に肩こりがすっと消える」(考査の関係で、もう少し曖昧な表現だったと思うが)という枕を売っていた。しつこい肩こりに悩まされていた私は衝動的にテレビに表示されている番号に自宅の固定電話から電話した。

 「ただいま混み合っています」という画面表示の割には即つながって、感じのいいオペレーターさんが出てきた。

 「お名前お願いします」から始まって、住所、続いて「電話番号」を問われたところでちょっと意外な言葉を聞かされた。

 商品送付先は既にオペレーターさんに伝えた自宅だし、実際話をしているのも「03」から始まるわが家の固定電話番号だから、「この番号です」と告げたら「別のつながりやすい番号で、お願いできますか?」とおっしゃる。

(写真:プラナ / PIXTA)
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 「ひょっとして、携帯電話の番号でいいんですか?」

 「はい!さようです!!」

 今、世の中で「つながりやすい電話」といえば、「固定」ではなく「ケータイ・スマホ」というわけだ。

 頭の中に「??」が浮かんだ私に、彼女は丁寧に説明してくれた。

 「ケータイなどつながりやすいお電話でございましたら、万一お留守の場合でもご迷惑をおかけすることなくご連絡さしあげ、指定のお時間にお届けするよう対応できますので……」

 なるほど! 「固定電話は、つながりにくい厄介な電話」とはそういう意味だったのか。

 自宅の固定電話の地位は、かつては断然、高いものだった。少なくとも10年ほど前までは……。通販で物を購入するだけでなく、銀行に口座を開くにも、クレジットカードに登録するにも、それなりのホテルに宿泊するにも、就職にエントリーするときにも、なんやかやと「ケータイではなく固定番号を」と迫られた記憶がある。

 独身ならいざ知らず、所帯を持ったら何はなくとも電話を引かなければならない――そんな時代が長く続いた。