当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2012年10月4日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

耳に引っかかる言葉

 仲間が集まり居酒屋でくだをまいている所に、我々の若手グループの一人、30歳そこそこの若いカメラマンの男性が遅れてやってきた。

 「おう、最近どう?」

 誰かがお約束の言葉を投げかけたときの彼の言葉がこれだった。

 「僕、ついに入籍したんです!」
 「おお、やったじゃない! 入籍届出したか?」
 「はい、二人で地元の役所に提出しました」
 「相手は○ちゃんだよな? 晴れて、夫婦か。よかった、よかった!」

 「入籍」のひと言で場が一気に華やいだ。

(写真:Fast&Slow / PIXTA)
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 「よし、今夜はAの入籍祝いだ! カンパーイ !」
 「おめでとー!!!」
 「ありがとうございまーす」
 「わー!」
 「きゃー! 」

 さて読者の皆さんは、この会話から何か「ひっかかるもの」を感じたろうか? その場の仲間たちは、ひたすら素直に彼の幸せを喜んだ。私ももちろん喜んだが少々気になることがあった。それは「入籍」という言葉だ。

 アナウンサー時代に先輩から言われたものだ。

 「結婚を入籍と言うのは避けたほうがいい。結婚とそのまま言うか、婚姻と表現する。入籍届を出した、ではなく、婚姻届を提出しただ」

 若い頃に言われたことは脳みその奥深く染み付いて、それと違った言い方をされると違和感が襲ってくるのだ。