当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2015年10月8日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

福山雅治さんが今日結婚しました……

 「速報です! 歌手で俳優の福山雅治さんが今日結婚しました。繰り返します。福山雅治さんが先ほど結婚しました。お相手は今日33回目の誕生日を迎えた女優の吹石一恵さんで、2人は……」

 担当するラジオ番組の定時ニュースのコーナー。報道部のデスクから「速報」を「緊迫感あふれるトーン」で伝えるアナウンサー。その「大げさな調子」に、思わず副調整室の担当女性ディレクターにトークバック(スタジオの内と外をつなぐボタン)を押して話しかけた。

梶原:「芸能人の結婚を、まるで一大事みたいで、やりすぎじゃない?」

 「本当よねえ(笑)」という彼女の反応を期待していた私がバカだった……。彼女は、女子高生だった頃から今日まで、4半世紀にわたる福山雅治の大ファンだったと、後で知った。

福山雅治さんの故郷、長崎の夜景(写真:まちゃー / PIXTA)
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 「一大事でいいじゃないですか(怒)」

 切り捨てるように言われてしまった。わずかな沈黙の後、作り笑顔でポツリと返してきた一言が忘れられない。

 「お相手が一般女性でなかったのが唯一、救いかなあ……(ため息)」

 陽気な彼女のいつにないしんみりしたトーンに、とんでもない地雷を踏んでしまったらしいことをようやく察した。

 その日は反省会もそこそこに、逃げるように局を後にした。私はひきょうなやつなのだ……。