当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2014年3月20日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

佐村河内氏と記者たちとの攻防

 このところ何かと気になる記者会見が続いている。「STAP細胞疑惑」を巡る理研の記者会見や、「差別的横断幕問題」についての浦和レッズや、Jリーグチェアマンの会見などなど。中でも「全聾(ろう)の作曲家」佐村河内守氏記者会見の前評判は大変なものだった。

 やったことがやったことだけに、彼の記者会見は「人をバカにした」「嘘だらけ」「ふてぶてしい」といった形容詞が並び、「佐村河内・記者会見で大失態」という印象の文言が目立つ。しかし会見の彼の「仕切り方」という点だけに着目した私の評価は、意外にも高かった(こういう言い方をするだけでひんしゅくを買いかねない空気ではあるが……)。

 会見に出席した腕っこきの記者・リポーターを前にした彼の戦いぶりは、不謹慎な言い方になるかもしれないが「なかなか」なものだった。さすが「希代のペテン師」と言われるだけのことはある。

 この男の「インチキ」「大嘘」のおかげで金銭的・心理的・肉体的に被害を受けた多くの方々がいらっしゃる。それは断じて許せない。インチキをインチキと見抜けぬまま、結果としてヨイショして、世間から非難を浴びることになった人も被害者だ。我が事のように憤慨に堪えない。

 そのことを大前提にしつつ、本コラムではそれとは別に、会見での彼と記者たちとの攻防を「会見観察人」としての立場でコメントすることをお許し願いたい。

(写真:Wellphoto / PIXTA)
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