当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2014年9月4日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

サントリーを飛躍させた伝説のブレンダー輿水精一さん

 ブレンデッド・ウイスキーの最高峰である「響30年」や、珠玉のシングルモルト・ウイスキー「山崎50年」「山崎35年」、そして「白州」など、今や世界のウイスキーファンを魅了し続ける名酒を世に送り出し、そのブランドを不動のものにしたサントリーのチーフブレンダー輿水精一(こしみず・せいいち)さん。ラジオ局のスタジオに現れた輿水さんは、カリスマオーラをぷんぷん漂わせた「伝説のプロフェッショナル」という雰囲気は微塵もない。超一流といわれる人は大抵そういうものなのだが。

 ウイスキー通にはいまさらな話で恐縮だが、ブレンダーとは樽ごとに個性の異なる「モルト・ウイスキー」を利き分け、これをバランスよくヴァッティング(個性をもつモルト・ウイスキーを大桶に入れて混ぜ合わせること)をしたり、「モルト・ウイスキー」(大麦麦芽=モルトだけでつくられるウイスキー)と「グレン・ウイスキー」(とうもろこしなどの穀物に大麦麦芽を加えて蒸溜したウイスキー)を混ぜ合わせてブレンディングをしたりすることで、新しいウイスキーを創り出す人と言われる。何十万樽ある「モルト原酒」のどれとどれを組み合わせれば狙った味ができるのか、ブレンダーは日々格闘している。

(写真:たけたん / PIXTA)
[画像のクリックで拡大表示]

 7人のブレンダーがいるサントリーでも、輿水さんはウイスキーの品質を決める「最終評価者」=チーフブレンダーとしてその頂点にいらっしゃった。サントリーでは創業以来、4人のチーフブレンダーがその役割を継承してきたが、輿水さんは1999年より務めてきた3代目だ。

 ヴァッティングとかブレンディングとは何か。何となくは分かる気もするが実際の所「何をどうなさっているのか」は分からない。

 こういうときは恥も外聞もなく聞いてしまうのが一番だ。ただし中途半端な「エラそうに見せたがる人」には、こういう質問はやめたほうがいい。「それくらい事前に調べておけ!」と言わんがばかりに「ムッとされる」可能性がある。

 ところが超一流の方というのは、こういう「素朴な質問」に丁寧に答えて下さることが多い。むしろネットで調べた半端な知識を、専門家を前にぺらぺらしゃべってしまうほうがよほど非礼だと私は思う。