若者よ、「チキンラーメン」を食べてくれ!――。60周年の2018年度に同ブランドの過去最高売り上げを狙う日清食品(その経緯は特集第1回「チキンラーメンひよこちゃん『良い子辞めます』の真相」を参照)。SNSで話題のレシピ「アクマのキムラー」を商品化し、若者に目を向けてもらうために取った戦略が“カップ麺のように売る”、そして“振り切る”ことだった(以下、太字は日清食品・安藤徳隆社長のコメント)。

今回の戦略を語る日清食品の安藤徳隆社長。1977年生まれ。2007年に日清食品に入社し、経営企画部部長や日清食品ホールディングスCMO(グループマーケティング責任者)、CSO(グループ経営戦略責任者)などを歴任し、15年4月から現職

 チキンラーメンの過去最高売り上げを狙うための戦略商品として18年4月に発売されたのが、袋麺「アクマのキムラー」。これが60周年プロジェクトの起爆剤となった。

 由来は、SNSで話題のアレンジレシピだ。漫画家の谷口菜津子氏が、キムチ、ごま油、卵、ニラを使って5分くらいで作れるレシピとして、ツイッターで絵付きで紹介。このときに「背徳感がたまらない」「香りがヤバイ」などと表現し、1万以上のリツイートを得て拡散した。

 商品化の狙いは“袋麺をカップ麺のように売る”こと。そのために初めて採用されたのが、「具付き3食パック」だ。キムチやニラなどの具が入っているにもかかわらず、チキンラーメンと同様に湯をかけるだけで食べられる。そのうえ、通常の5食パックよりも少なく、一人暮らしの若者や少人数世帯でも買いやすくなっている。

「チキンラーメン 具付き3食パック アクマのキムラー」(18年4月発売、希望小売価格は税別408円)

 さらに、小売店には「この商品はカップ麺売り場に置いてほしい」と提案した。

 「いくら面白い袋麺を出しても、伸びしろがあるカップ麺ユーザーの視野になかなか入らない。そこで、小売店の方々には最初から『この商品は袋麺ユーザーをターゲットにしていません』と言い切った。『袋麺に全く興味がないカップ麺ユーザーに買ってもらえれば、新たな売り上げになりますよ。だから、カップヌードルの横に置いてください』と」

 カップヌードルとの同時購入もあり、袋麺売り場よりよく売れる傾向にあるという。売れ行きは計画比150%と好調だ。具付きなので、価格は3食入りで通常のチキンラーメンの5食入りと同程度。5食パックの相場を知っている袋麺ユーザーを狙っていたとしたら、結果は違っていただろう。

袋麺売り場ではなく、カップ麺売り場に置いてもらうように小売店に提案