自分がもし死んだら、家族がもし亡くなったら、そのパソコンやスマホのデータ、ネット銀行やSNSのようなオンラインサービスのデータなど、残されたデジタル遺品はどうなってしまうのか? どんな備えをしておくべきなのか? そんな「デジタル終活」について、デジタル遺品研究会ルクシー代表理事の古田雄介氏が解説していく。

ドイツFacebook開示裁判は母親側の勝訴

第7回で取り上げた、ドイツ連邦司法裁判所でのFacebookのダイレクトメッセージ開示裁判の評決は世界中に驚きを与えた。

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 裁判の大筋は、ドイツの地下鉄事故で亡くなった少女の母親が、少女の自殺の可能性を確かめるためにFacebookに対して当該アカウントの開示を請求したというものだ。Facebookのアカウントは一身専属契約のため、たとえ遺族であってもアカウントを引き継いだりダイレクトメッセージの中身を見たりできないルールになっている。そのルールの是非の判断が焦点になった。

 2012年の事故から6年。母親はベルリン地方裁判所で勝訴し、ベルリン控訴裁判所では敗訴した。そして2018年7月12日、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所は逆転で母親の訴えを認める判決を出した。

 たとえオンラインで管理されているメッセージであっても、遺族が手出しできないのは考えもの。紙で遺された日記帳や親展の書簡と同じように、必要性があるときは取り扱えるような道筋は必要だ――。評決にはそうした考え方が含まれているようだ。

 この結果の背景には、EU諸国が持つ巨大IT企業への不信感や、GDPR(EU一般データ保護規則)に見られるような個人情報の管理意識の高まりなどがあるように思う。ここで重要なのは、その是非よりも、「社会情勢によってデジタル遺品の扱い方は変わってくる」という事実だ。