自分がもし死んだら、家族がもし亡くなったら、そのパソコンやスマホのデータ、ネット銀行やSNSのようなオンラインサービスのデータなど、残されたデジタルデータはどうなってしまうのか? どんな備えをしておくべきなのか? そんな「デジタル終活」について、デジタル遺品研究会ルクシー代表理事の古田雄介氏が解説していく。

 都内で暮らす50代の男性・Aさんから、相談というより愚痴を聞いた。

 北関東で一人暮らししていた兄が急死し、実働できる唯一の血縁者ということで、喪主から遺品整理まで一手に引き受けたという。それほど密な間柄ではなかったもののたまに連絡を取ってはいたし、ある程度の蓄えもあったので、作業はまずまず順調に進んだ。

 そのなかで唯一難儀したのが、携帯電話の解約手続きだったとか。端末の型番を調べ、取り扱うキャリアショップに相談に行ったが、「本人でないと解約できない」とけんもほろろに断られたそうだ。必死に事情を説明し続けると理解してくれたが、今度は兄の死を証明する書類等を持ってこなかったことに気づく。仕方なく、その日は必要書類を確認してショップを後にした。

 そして、翌週末に書類を揃えてもう一度キャリアショップで整理券を持って並んだところ、その日の担当スタッフにも「本人でないと解約できない」と言われて、思わず声を荒げてしまったとか。その後事情を話し続け、上長が出てきてようやく解約手続きができたそうだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 この手の話はしばしば聞く。契約者が亡くなった後の契約解除の方法についてはどのキャリアもしっかりとルールを定めているが、そこまで頻ぱんにあるケースではないこともあり、窓口で事がスムーズに進まないことが往々にしてあるようだ。

 しかも、週末のキャリアショップは混み合うことが多い。仕事などで遺産整理に週末しか使えない場合は長時間待たされることもあり、余計に苦労することなってしまう……。

※紹介する事例はプライバシーを保護するために、本筋を損ねない範囲で脚色を加えています。