野球でもサッカーでも、基礎訓練ばかりではつまらない。やはり実践も重要です。音読で英語の基礎訓練を続けると同時に、ある程度音読ができるようになったら、実践編へ移りましょう。このとき、目標設定が重要です。聞ける、話せる、書ける、読める――あなたは、この4技能のうち、どれに目標をセットしたいですか? ここではそれぞれの極意を紹介します。

安河内哲也(やすこうち てつや)。上智大学外国語学部英語学科卒。東進ハイスクール、東進ビジネススクール英語講師。通訳案内士。『英語は「体」で勉強しなさい!』(中経の文庫)他多数
[画像のクリックで拡大表示]

正しい「多読法」でリーディング力をつける

 手始めはリーディング力、つまり英文読解力をアップする方法です。読む訓練に最適なのは、なんといっても「多読」です。音読で、英語の語順に合わせ、左から右へ読んでいく力が付いたら、その勢いで左から右へ読んでいく多読を始めるのがいいタイミングと言えます。まず、洋書売り場へ行ってみましょう。もちろんネットで洋書を探してみるのもお勧めです。

 本選びで注意したいのは、「読みたい本=読める本」ではない点です。背伸びをせず、自分のレベルより少し易しいレベルの本を選ぶことがポイントです。最近では、“Oxford Reading Tree” や“ラダーシリーズ”、“Penguin Graded Readers”など、多読に適した作品をまとめたシリーズが複数、出版されているので、それらのなかから興味ある本を選ぶといいでしょう。

 多読用の本は段階別になっているので、自分のレベルより低いレベルの本や、書店でページをめくって、「簡単そうだな」と思えるレベルの本を選びます。一般的なペーパーバックや英字新聞に手を出したくなる気持ちは分かりますが、多読訓練のためにはそこをぐっと抑えて、多読用の本から選びましょう。多読用の本は児童図書とは異なり、古典や伝記、ノンフィクションや小説などを、簡単な英単語で書き換えてあるため、大人でも十分に楽しめる内容になっているのが特徴です。

 多読に挑戦するときは、次のルールを厳守してください。それは「覚えない」「調べない」「繰り返さない」です。音読では、「覚える」「調べる」「繰り返す」が基本ですが、多読はスピード感を重視するため、いちいち辞書で調べず、出合った単語を覚えようとせず、繰り返し読まずにどんどん読み進めるのが基本。しつこく追求するのはやめておきましょう。そうすることで、スピード感ある読解力が身につきます。

 分からない単語が出てきたときは、「調べる」のではなく、前後の文章から「推測」します。「たぶんこういうことじゃないかな」と推測しながら、読み捨てていく。そして、楽しむのです。この「推測する」という行為は、実は英語にはとても大切。会話で分からない単語が出てきたとき、ある程度推測して理解していくことが求められるためです。

もちろん、いちいち会話を止めて、「今、なんて言った?」と聞く姿勢も大事ですが、ある程度の上級者になると、この推測力が意外に役立つことが分かってきます。ですから、初期の段階からでも、多読では調べず、推測して理解していくことに慣れていきましょう。

 本もいいですが、読み捨てていく感覚から言うと、電子書籍がお薦めです。多読用の本は何十冊とたまってくるので、電子書籍のほうが保管がラク。また、推測しても推測しても分からず、気になって仕方がない単語を調べたいと思ったときには、辞書機能を使えるというメリットもあります。

 どうしても英字新聞を読みたい、という人は、The Wall Street Journalなど上級者向けの外国新聞ではなく、注釈が付いている、日本の新聞の英語版がお薦めです。このほか、ジャパンマンガも役立ちます。今では日本で出版されている多くのマンガが英語に翻訳されているので、すでに読んだマンガを英文で読んでみるのもリーディング力を高めるのに効果的です。

多読成功の鍵は、「覚えない」「調べない」「繰り返さない」(写真:123RF)
[画像のクリックで拡大表示]