中学英語の文法なら、ある程度、記憶に残っているはずのビジネスパーソンのみなさん。現在の英語力をアップさせたいとき、最初にクリアすべきはリスニング力です。ついでに発音も。そこで、今回はリスニング力と発音を同時に身につける方法をご紹介します。私のおすすめは、ズバリ、「洋楽ひとりカラオケ」。これはただのエンタメではありません。英語学習の原理にのっとったエンタメの英語学習的活用術です。さあ、始めましょう。

安河内哲也(やすこうち・てつや)。上智大学外国語学部英語学科卒。東進ハイスクール、東進ビジネススクール英語講師。通訳案内士。『英語は「体」で勉強しなさい』(中経出版)他多数
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「100%聞き取れる」こと自体、非現実的

 私も、実はリスニングが苦手でした。日本語は英語より音の数が少なく、LやRのように日本語にはない音の違いがあるため、聞き取りにくいのは当たり前。それが日本人のリスニング力アップを困難にさせている理由になっています(前回、「英語が『聞き取れない』理由とその最短克服法」参照)。私自身、TOEFLやTOEICの読解や文法の点数はよくても、リスニングには苦労しました。

 前回もお伝えしましたが、聞こえない理由は、単語を知らないか(内容的側面)、知らない音を認識できないか(音声的側面)、大きくはこの2つに分類されます。でもみなさん、ちょっと思い出してみてください。日本語の映画でも、登場人物が早口で話していたら、聞き取れないことってありませんでしたか。英語も同じ。ネイティブでも聞き取れないことがあります。ましてや、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語で、微妙に発音が異なります。

 ネイティブでない国の人が100%聞き取れる、ということ自体、非現実的なんです。まずは、それを念頭に入れておきましょう。そして目標値を「100%聞き取る」というところに置かず、「8~9割聞き取れれば十分」というところにセット。英語の勉強はそこからスタートしましょう。

 そしてもうひとつ。英語学習で重要なことは、「継続」すること。たとえ集中的に1年間勉強しても、その後何もしなければ英語は忘れていきます。でも、本を広げて「さあ勉強!」と思うと、三日坊主になりかねません。継続するには、「好きなことをやる」「英語で趣味を楽しむ」のが一番。

 いい例がマジシャンです。実はマジシャンには英語が得意な人も多いんです。それは、最新のマジックのテクニック教材が英語のDVDであることが多いため、英語とともに学ぶことになります。好きなことですから、何度も見ます。そのうち、大雑把ですが、英語のポイントが理解できるようになるわけです。趣味や好きなことなら自然と毎日続けたくなりますよね。趣味と英語をつなげるのは、上達への近道というわけです。

 そこで私がおすすめするのは、発音とリスニング力の両方を同時に矯正できる「洋楽ひとりカラオケ」です。私の周りにいる英語が達者な人の多くが、洋楽カラオケで、発音がよくなり、リスニング力もついた、と言っています。

 それにはちゃんとした理由があります。みなさんも既にご存じかと思いますが、英語の練習には、繰り返し行う「リピーティング」、耳で聞いたものを即座に復唱する「シャドーイング」、英語の音声に合わせて自分も発声する「オーバーラッピング」、声に出して読む「音読」が重要とされています。実は、洋楽ひとりカラオケには、このすべてが入っているんです。

パソコンやタブレットで歌詞を見ながら、音楽を聴きます
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