かつて、トイレではお尻を紙で拭くのが当たり前だった。今は、老若男女、ほとんどの人にとって「お尻は洗うもの」で、近年、そのトレンドは世界にも広がっている。しかし、およそ40年前に生まれた「気軽にお尻を洗う技術」が、現在、どこまで進化しているのか、知る人は少ない。そこで、1980年にお尻が洗える便座「ウォシュレット」 を商品化したTOTOを訪ねて、その開発の歴史と最先端の技術について調査した。

お尻はいかにして洗われているのか

 トイレでお尻を洗っているとき、そこでいったい何が起きているのか、あなたはきちんと理解できているだろうか。たとえば、温水洗浄便座「ウォシュレット」でお尻を洗うと、得も言えぬ心地良さを感じる。あの独特の“感触”は、ホースで植木に水をかけるように、ノズルから温水を漫然と当てているわけではない。実際には、たった1秒間に約100個の水玉がお尻に当てられているのだ。

(写真提供:TOTO)
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 このような高速かつ精緻な吐水(ノズルからお尻に温水を当てる)技術をメインとして、ノズルの出し入れや洗浄、脱臭など、さまざまな機能の塊である温水洗浄便座の中には、精密部品がぎっしり詰まっている。

ウォシュレットの内部には、さまざまな精密機器がコンパクトな空間に詰め込まれている(写真提供:TOTO)
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 なぜ、お尻を洗うだけなのに、ここまで高度な吐水の技術が駆使されなければならないのか。その理由を知るために、「ウォシュレット」の生みの親であるTOTOの総合研究所を訪ねた。

神奈川県茅ヶ崎市にあるTOTOの総合研究所
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