デトロイトショーの寂しい空気を吹き飛ばしたレクサス「LCコンバーチブル コンセプト」。その“美女っぷり”にホレた現役レーシングドライバーでありながら、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める木下隆之氏が、うれしいウラバナシを解説します。

 2019年1月に米国・デトロイトで開催された全米自動車ショー“デトロイトショー”で、もっとも華やかな話題を提供したのは「トヨタ・レクサス連合」だったといっていいだろう。

 ジャーマン3(メルセデス、BMW、アウディ)の不参加、CES家電・IT見本市の台頭などで、かつては栄華を誇ったデトロイトショーは活気を失っており、会場の雰囲気もどこか寂しげだった。

 そもそも、デトロイトの会場までの道筋には、今では廃屋と化した元高級住宅が野ざらしのまま放置されており、トランプ大統領が憂う“ラストベルト”(脱工業化が進む一帯でラストは「サビ」の意)の魂が吸い取られるような負の空気が漂っている。治安も悪化している。

 全米自動車ショーも、そんなサビついたラストベルトの中心で開催されたこともあり、活気に欠けた。そんなネガティブな空気を払拭してくれたのが、トヨタ・レクサスだったのである。

 トヨタが発表した「GRスープラ」は、17年ぶりの復活である。特にアメリカ市場では人気のブランドだったから、新型が姿を表すと、激しい拍手が響きなかなか鳴り止まなかった。

 レクサスが発表した「LCコンバーチブル コンセプト」も同様で、ステージ上にさっそうと走り込むやいなや、激しいフラッシュライトがたかれ、目がくらむほどだった。まるで息をのむほどの美女の姿態のような美しさに誰もが見とれていたように思う。

レクサス「LCコンバーチブル コンセプト」
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 LCコンバーチブル コンセプトのデザインは特に、デトロイトのショー会場で際立っていたといっていい。というのも、地元の米国メーカーが発表したモデルのほとんどは、無骨な体躯をウリにするSUVやジープ系だった。スープラもマッチョなボディーを特徴としていた。そのなかにあって、均整のとれたLCコンバーチブル コンセプトのフォルムは芸術的だった。

 美女と野獣。猛獣の檻に紛れ込んだ美女。「Mr.」ではなく「Ms.」。LCコンバーチブル コンセプトはまぎれもなく女性名詞で語られるべくモデルだと確信した。

「美しいね」

 思わず僕の口からそんな言葉がもれた。奇をてらわず、素直な曲線で構成されたボディーラインは、走らせるクルマというより、そこに飾っておきたくなる芸術作品のように映ったのである。

女性名詞で語られるべくモデルだと確信した
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 その証拠に、デトロイトショー公認の「The Eyes On Design Award」で、「ベストエクステリア賞」に輝いた。

「日本の美学的センスがすばらしい」

 審査員は、「ジャパニーズモデルとしての気品を備えている」と評価した。