今年6月に閣議決定された経済財政運営の政府指針「骨太方針2018」の中に、「人づくり革命基本構想」が含まれています。これは人生100年時代構想会議で人生100年時代を見据えた人づくりについて議論されているものです。

 あらゆるものがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット化)の記事を見ない日はないくらい世の中に周知されてきましたが、諸外国に比べ日本企業の生産性向上には寄与していないという分析結果が経済財政白書で述べられています。日本の製造業は高度成長期にロボット導入により、他国よりも競争力を誇っていた時代も過去にはあります。

 今進行中の第4次産業革命の波にうまく乗るためには、個別企業の取り組みはさることながら、そこで働く人々の学び直しの場を活用していく必要があるのではないでしょうか?

 慶應義塾大学が関わる研究で、自己啓発の有無でその後の就業や収入がどう変わったかを分析した結果があります。自己啓発をした人はしなかった人に比べ、3年後の年収が16万円近く増え、非就業だった人の場合は就業確率が10%以上上昇し、就業者だった場合、より専門性の高い仕事に就く確率も上昇しています(内閣府2018年度経済財政白書より)。

 自己啓発と聞くと何やら怪しいオカルトやスピリチュアルを想像する人も少なくはないのではないでしょうか? 確かに広辞苑(第4版岩波書店)を紐解いても、自己啓発という文言は出てきません。ですが、「自己とは、おのれ、自分、その人自身の」と掲載されています。「啓発とは、知識をひらきおこし理解を深めること」とあります。広辞苑の意味から自己啓発を理解すると、その人自身の知識をひらきおこし理解を深めること、となります。

 労働生産性アップのためには、各個人がいつからでも学び直しを繰り返す事によって、良い結果に結びつく可能性が高まる、と読むことができるでしょう。

歴史に学ぶ華僑が言う「最高の駆け引き」とは

 では私たちビジネスパーソンは何を学べばいいのでしょう。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とはオットー・フォン・ビスマルクの名言ですが、歴史から学ぶことが、歴史は繰り返すという言葉を信じるなら、賢明です。

 ビジネスパーソンが予備知識として日本史や世界史を学び直すのも一つの方法ですが、武器を使わない戦争と喩えられるビジネス現場を考えるなら、中国古典がオススメです。今やアメリカと並ぶ大国となった中国。その中でも裸一貫で勝負をするために海外で一旗あげようと獅子奮迅の華僑たちは、先鞭の知恵の結晶である中国古典を実践の書として使い倒しています。 

 企業として浮揚するためにも、個々人のレベルアップが喫緊の課題であるというのは、冒頭でも述べました。

 ビジネスにおいて、華僑から学ぶべきは、何と言っても駆け引きのうまさでしょう。華僑の十八番と言えば、駆け引きです。そんな華僑たちが異口同音に言うのは、「最良の駆け引きは、駆け引きをさせないようにする事」です。コミュニケーションも駆け引きの一環と捉えている彼らは、常にアンフェアな人を見破ろうとしています。