この記事は「日経PC21」2018年8月号(2018年6月23日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 約10年前、テキスト作成専用という思い切ったコンセプトで注目を集めた「ポメラ」。シリーズ累計で約35万台を突破し、根強い支持を得ている。その10周年の節目に登場したのが「DM30」だ(図1)。最大の特徴は初代機と同じ折り畳み式キーボード(図2)。一昨年発売の上位機「DM200」はストレート型だったが、折り畳み型を求める声も多く、これに応えた形だ。

図1 テキスト作成専用端末「ポメラ」シリーズの最新モデルで、新機構の折り畳み式キーボードと、シリーズ初の電子ペーパー採用が目玉。国語と英和、和英の辞書を収録
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図2 折り畳み時は正方形に近く、片手で楽々とつかめる。高さ3.3センチとやや厚みはあるものの、かばんに収めやすいサイズだ
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 折り畳みの機構は新設計で、従来より耐久性を高めた観音開き式。キーボードを開くと自動で脚が下りて接地し、抜群の安定感をもたらす(図3)。キーピッチは横17×縦15.5ミリとノートパソコンと遜色なく、しっかりとした打鍵感が気持ち良い(図4)。画面はシリーズ初の電子ペーパー(図5、図6)。映り込みがなく、長時間使うと液晶より目が疲れにくいことを実感する。電源は単三形乾電池で、不意の電池切れにも対応しやすい(図7)。

図3 キーボードを開くと自動的に小さな脚が下りて接地する。この機構がタイピング時の安定感につながっている
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図4 キーピッチはノートパソコン並みで、ストロークも1.4ミリとまずまず。タイピングは至極快適だ。サイズの割にキー配列も違和感はなく、折り畳みの継ぎ目も気にならない
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図5 画面は6型でE Ink社の電子ペーパーを採用。まるで本物の紙のように映り込みがなく、とても見やすい。ただし、バックライトがないため、暗い場所には不向きだ
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図6 電子ペーパーは文字の残像が課題。適宜リフレッシュ機能が働いて残像は消えるが、気になるなら手動で消すことも可能だ。なお、文字入力時に表示がややもたつく傾向がある
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図7 単三形のアルカリ乾電池2本で約20時間駆動する。もちろん充電・再利用可能な「エネループ」にも対応。SDカードスロットを搭載し、テキストデータを保存できる
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 ポメラからテキストデータを取り出すには、SDカードやUSB経由のほか、スマホでQRコード撮影といった方法がある(図8)。通信機能はないが、Wi-Fi内蔵のSDカードを使えば、スマホやパソコンからアクセスできる。

図8 作成したテキストデータは、マイクロUSBやSDカード経由でパソコンに取り込める。iPhoneなら専用アプリでQRコードを撮影して転送できる(最大8000文字)。ちなみに、Wi-Fi対応SDカード「フラッシュエアー」を利用すれば、スマホやパソコンから直接アクセスが可能だ
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 悩ましいのが上位機DM200の存在だ。変換精度や通信機能はDM30を上回りながら、価格は7000円以上も安い。それでも、画面の見やすさや携帯性、タイピングの快適さを重視するなら、迷わずDM30をお薦めしたい。

(文/五十嵐 俊輔)