またUSB PDには、電源供給のほかに映像出力やデータ転送も1本のケーブルでできるという特徴を持ち合わせる。実際の接続例を見れば一目瞭然だ。下の写真はUSB PD対応の液晶ディスプレーとノートパソコンを接続したところ。液晶ディスプレーはコンセントから電力供給を受けている。その液晶ディスプレーとパソコンをタイプCケーブルでつなげば、パソコンへの電力供給、パソコンからの映像出力がケーブル1本で済んでしまう。

USB PDの魅力は充電だけでなく、映像出力やデータ通信も可能なことにもある。USB PD対応の液晶ディスプレーなら、パソコンへの電源供給と、パソコンからの映像出力をケーブル1本でまかなえる
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 この例では、ノートパソコンのAC電源が不要になっただけだが、ケーブルの配線はスッキリした印象に。さらに外付けHDDなど、周辺機器のUSB PD対応が進めば、対応機器を数珠つなぎにして電力供給とデータ転送が可能になるため、配線はかなり少なくなるはずだ。

iPhoneの対応で再び脚光のワイヤレス充電

「Qi(チー)」は、ケーブルを使わずに無線(ワイヤレス)で電力を伝送する規格。充電台内のコイルによって発生した磁力を、充電する端末内のコイルが電力に再変換している
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 2つめのキーワードはワイヤレス充電の「Qi(チー)」。こちらもUSB PD同様、iPhoneが対応したことで再び注目を集めている充電規格だ。仕組みは、充電台内のコイルで電力を磁力に変え、端末内部のコイルで再び電力に変換してバッテリーを充電するというもの。

 充電器メーカーなどを中心に、Qi対応の充電器が数多く発売されている。タイプは、充電パッドといえる平置き型と、動画などを視聴しながら充電できそうなスタンド型の2タイプ。このほか最近では、車載用のQiスタンドなども展開する。

 Qiは規格拡張で最大15Wでの充電に対応したが、製品では大半のアンドロイドが最大10W、iPhoneが最大7.5Wまでとなっている。

Qi対応の充電器には、本体を置く台座部分の形状で2タイプ、平置き型とスタンド型がある。単に充電するだけなら平置き型でも問題ないが、充電しながらスマホを使いたいならスタンド型のほうが使い勝手が良い
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iPhoneに付属するのは最大5W(5V/1A)の電源アダプター(上)。だが、電流を2.4Aまで上げる急速充電に対応しているため、iPad向けの最大12W(5.2V/2.4A)の電源アダプター(下)を使うと充電時間を短縮できる
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 3つめのキーワードはiPhoneの急速充電。アップルは独自に電流を2.4Aまで上げるという急速充電機能がある。注意したいのは、この急速充電を付属の充電器では使えないこと。付属の充電器は最大1Aまでの対応なので、別途2.4Aまでの出力に対応した充電器が必要だ。

 一方で、前述のように1世代前の製品からUSB PDにも対応した。こちらはUSB PD対応の充電器だけでなく、タイプC(アップルはUSB-Cと呼称)とライトニングをつなぐ充電ケーブルも必要。ハードルはさらに高くなるが、USB PD充電では実測値で15Wを超える。体感レベルでもかなり高速だ。

 iPhoneのUSB PD充電用のケーブルは、現状、純正品の一択。アマゾンで販売する低価格ケーブルも試してみたが、USB PDでの充電はできなかった。「安物買いの銭失い」にならないように注意してほしい。

iPhone Xと8シリーズでは、USB PD による急速充電に対応した。実際の出力をUSBチェッカーで調べると15W前後で充電できた(右下)。ただし利用には、PD対応の充電器とUSB-C to ライトニングの純正ケーブルが必要になる
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(文/日経PC21編集部)

※日経PC21 2019年3月号の記事を再構成