キーボード開発を支えるスペシャリストたちに聞いてみると

 富士通コンポーネントといえば、傑作と名高いキーボード「Libertouch(リベルタッチ)」を生み出したメーカー。キーボードのスペシャリストが在籍している名門で、「親指シフトキーボード」も製造する。

2018年1月に一度は生産終了となったが、ユーザーの熱い要望が多数寄せられ復活を果たした「リベルタッチキーボード」。2018年8月に発売された新製品は全キーとも約35gの軽荷重ラバーで、サクサク軽快に入力できる打鍵感が特徴だ
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 今回、取材を行ったのはUH-Xのキーボードユニット開発に携わった富士通コンポーネントの開発陣と、富士通クライアントコンピューティングが誇る「ミスターキーボード」こと藤川英之さんだ。

「LIFEBOOK UH-X」のキーボード開発陣。左から富士通クライアントコンピューティングの第一技術部マネージャー藤川英之さん、富士通コンポーネントの複合デバイス統括部 統括部長山路秀幸さん、機構設計プラットフォーム部 課長佐藤博紀さん、機構設計プラットフォーム部 部長代理西野武志さん
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 藤川さんは富士通のノートパソコンからデスクトップパソコンまでキーボード開発を横断して担当。LIFEBOOK UHシリーズに搭載するキーボードユニットを進化させてきた立役者である。そして、それを支えたのが富士通コンポーネントの開発陣というわけだ。中でも中心となって活躍したのが機構設計プラットフォーム部で課長を務める佐藤博紀さん。最新モデルUH-Xのキーボードユニットはもちろん第二世代の開発も進めたキーパーソンだ。

 第三世代となるUH-Xは世界最軽量を実現した第二世代からさらに軽量化を図ることが必須の目標となっていた。2018年2月に開発が始まったキーボードにも、さらなる軽量化が求められた。

富士通クライアントコンピューティングの藤川英之さん。「UH-Xのキーボード開発に着手する前から、佐藤博紀さんをはじめ富士通コンポーネントの担当者とはアイデアや意見を交換していました」と語る。軽量化できるポイントの絞り込みやリストアップをしていたという
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富士通コンポーネントの佐藤博紀さん。「正直、キーボードのさらなる軽量化は厳しいし、第二世代のままでもいいんじゃないかと思っていました(笑)。でも、軽量化は常にあるテーマで要求されることは覚悟していました」と振り返る
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 UH-Xの発売は2018年11月の予定にされており、わずか半年ばかりの期間で開発はもちろん生産ラインに乗せるまでこぎ着けなければならない。
 「当初は最も軽量化が見込めるキーボードユニットを固定するネジに着目しました。配置を工夫して、本数を減らしたり径の細いネジを利用したりすることでサポートパネルの軽量化が図れると考えていました」(藤川さん)

 ところが、このアプローチは実を結ばない。キーボードを固定するネジは本体全体の設計に影響が及ぶため調達や組み立てなど様々な観点から検討した結果、断念せざるをえなかったのだ。そのため、キーボードユニットの開発は5月中旬に方針変更を余儀なくされる。
 「ひとつのポイントで大幅に軽量化することが難しくなったため、構成する複数のパーツをそれぞれ軽くして、その積み上げで目標をクリアすることに変更しました」(藤川さん)