この記事は「日経PC21 4月号 IT羅針盤」(2019年2月発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 ディスプレイは固い板のようなもの──そんな常識が覆されつつある。画面を折り畳んで使えるスマホやタブレット、さらには巻き取り式のテレビまで、曲げたり丸めたりできるディスプレイを搭載した製品が、近々商品化されそうだ。

 韓国のサムスン電子は昨年11月、折り畳める有機ELディスプレイ「インフィニティ・フレックス・ディスプレイ」と、それを搭載したスマホの試作品を発表した(図1)。手帳のように開くと内側のディスプレイをタブレットのように使え、折り畳むと外側にもディスプレイがあり、ポケットサイズのスマホになる。中国のロヨルも折り畳めるスマホ「フレックス・パイ」を発表していたが、今年1月には米国で開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で実機を披露(図2)。ディスプレイを広げるとタブレットに、外側に折り畳むとスマホサイズになる。ロヨルはすでに開発者向けモデルを販売している。

図1 昨年11月の開発者向け会議でサムスン電子が披露した折り畳み式スマホ(同社が公開する講演ビデオより)。大きめの画面を真っ二つにして折り畳め、ポケットにもしまえる。今年前半の発売が見込まれている
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図2 1月に米国で開催された電子機器の見本市「CES」でロヨルが展示した「フレックス・パイ」と呼ぶ端末。画面を外側にして折り畳むと、半分のサイズで使える(写真:村元 正剛)
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 画面を2つ搭載した折り畳みスマホは従来からあるが、サムスンやロヨルの端末は1枚のディスプレイを折り曲げて使うのが特徴。グーグルはこうした端末を「フォルダブル」と呼び、アンドロイドOSで対応すると表明している(図3)。

図3 グーグルは昨年11月、「フォルダブル」と呼ぶ折り畳み式端末のカテゴリーを発表。曲がるディスプレイをアンドロイドOSでサポートすると表明した。2019年中には、複数のメーカーからフォルダブル端末が登場する見込みだ(図はアンドロイドの開発者ブログより)
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 韓国LGエレクトロニクスがCESで発表した4Kテレビ「LG SIGNATURE OLED TV R9」にも注目したい(図4)。一見普通のテレビだが、使わないときはディスプレイがくるくると巻き取られ、台座の中に収納される。ディスプレイを少しだけ出して時計や天気予報などを表示させることも可能。今年中には発売すると見られている。

図4 CESでは、LGエレクトロニクスも“巻き取り式”のディスプレイを披露。台座の中にディスプレイが丸められており、テレビを見るときはするするとせり上がってくる(写真:村元 正剛)
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(文/湯浅 英夫)