人気を支えているのは誰?

 「かえってきた!たまごっちプラス」で再び人気を取り戻してから、バンダイは1〜2年おきに新機種を投入している。転換期となったモデルをピックアップして紹介しよう。

 デジタル機器の主流がカラー画面になったことから、たまごっちも2008年11月発売の「たまごっちプラスカラー」からカラー期に突入する。カラー画面になり、キャラクターの表情が豊かになり、背景のパターンが増え描写もリアルになった。

たまごっちプラスカラー(4800円、2008年11月発売)、たまごっち初のカラー機種。キャラクターの表情や背景の表現がリアルになり、育成の楽しさが増した
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 2009年10月にはテレビアニメの放送が始まり、たまごっちブームに拍車がかかった。アニメを通してキャラクターそれぞれの個性がはっきりし、ユーザーにとって今まで以上にキャラクターが身近な存在になったという。

 そのすぐ後、11月に登場した「Tamagotchi iD」(たまごっちアイディー)では、携帯電話との連係機能を搭載。携帯電話でアクセサリーや衣装、レストランのメニュー、ミニゲームなどを入手し、赤外線通信を通じてたまごっちにダウンロードできるようになった。配信するデータの中には限定アイテムもあり、友達が育てているたまごっちとは違う自分だけのたまごっちを育てられるようになった。

 この頃、主力のユーザー層となったのは小学生女子だ。友達とのコミュニケーションを重視する彼女達にとって、「友達にキャラクターを見せられる」「自慢できる」「友達と一緒に遊べる」などのニーズを満たしてくれるたまごっちが大人気に。今ではユーザーの約9割を小学生女子が占めるようになった。

 たまごっちの歴史を振り返ると、こうした新たなコミュニケーションを生んだ機種は、とりわけ人気が高いという。

「Tamagotchi iD」(4800円、2009年11月発売)。携帯電話からさまざまなアイテムやミニゲームをダウンロードでき、たまごっちをカスタマイズできるようにした
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 2014年9月には、タッチするだけで通信できるNFC通信機能を搭載した「TAMAGOTCHI 4U」(たまごっちフォーユー)を発売。たまごっち同士の通信は、赤外線通信よりも簡単になった。NFC機能付きのスマートフォンから、専用アプリをダウンロードすることもできる。

「TAMAGOTCHI 4U」(5980円、2014年9月発売)。小学生女子と初代たまごっちで遊んだ20~30代の女性をターゲットにした
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実は死ななくなっていた

 たまごっちシリーズの進化の途中で、見逃せない仕様の変化がある。それはたまごっちが「死ななくなった」ことだ。

 初代たまごっちをはじめとした「Tamagotchi iD」より以前の機種は、お世話をさぼるとたまごっちは死んでしまう。リアルな緊張感があり、死なせてしまったときは大きな喪失感があった。

 だが「Tamagotchi iD」からは、さぼっても置き手紙を残して家出するだけで死ななくなった。なぜ死ななくなったのか。

「テレビアニメの影響で、たまごっち1人1人の性格や好みがはっきりし、キャラと子どもたちの関係が親密になったんです。仲良くなったぶん、死なせたときのショックも大きいので、代わりに家出をすることにしました」(木次氏)

 これには社内でもユーザーの間でも議論が起こり、賛否両論あった。だが、「わが子がかわいがっていたたまごっちに家出されるだけでもショックを受けているから、死んだらどんなに悲しむか……」と、ユーザーのお母さんからはおおむね好評だったという。