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『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第30回。今回は話題沸騰のゾンビ映画『カメラを止めるな!』を分析する。

 この夏、話題騒然となっている映画『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)をご存じだろうか? 都内の上映館では連日、各回満席という大入りが続いている。と言っても、シネコンなど大きな箱(映画館)で上映されている作品ではない。いわゆるミニシアター系の作品として低予算で作られた映画だ。

(C)ENBUゼミナール
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 映画専門学校のワークショップから生まれたこの作品は、すでに国内外の映画祭でも数々の賞を受賞している。海外での本作のタイトルは、『ONE CUT OF THE DEAD(ワン・カット・オブ・ザ・デッド)』。その名の通り、37分間ワンシーン・ワンカットで撮影したゾンビ映画なのだ。

 ここ数年、エンタメ業界では空前のゾンビブームが続いている。ゾンビ映画は既にあらゆる切り口で作られ、消費されてきた。そこにエンタメ業界のもう一つの潮流“ワンシーン・ワンカット”という手法をかけ合わせるというアイデア。海外タイトルを聞くだけで「これは面白そう!」と期待感があおられる(ただ、この作品の本当の面白さは、さらにその先にあるのだが……)。

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 この作品の舞台は、ゾンビ映画ではお決まりの廃墟。ゾンビに扮した男がうなり声を上げながら、うら若き女性を襲うシーンから始まる。ゾンビに食いつかれ、絶命する女性。そこにすかさず、監督の声がかかる。

 「カット!」

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 しかし、この映画のタイトルは前述の通り、『ONE CUT OF THE DEAD』。映画はそのままカットが途切れず進行していく。ゾンビ映画が氾濫する現在のリアルな状況を背景に、ゾンビ映画の撮影とそのスタッフ・キャストの姿が描かれていくのだ。