2016年4月に香港で開催された展示会を訪れたというセレボの岩佐氏。国内ではあまり報道されていない展示会だが、岩佐氏は重要視しているようだ。展示会を訪れる狙いや効果などについて、岩佐氏に語っていただこう。

──香港のトレードショーというのは正直、国内ではあまり聞かないのですが、どのようなイベントなのでしょうか。米ラスベガスで毎年1月に開催される「CES」(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)のアジア版である「CES Asia」などとはまた違う感じなんでしょうか?

岩佐琢磨氏(以下、岩佐): CES Asiaはいわゆる「B2C」向けの製品を、レノボやBMW、インテルといった有名メーカーがプロモーションする場です。規模は違いますが、その背景にある意味、意義的なところはラスベガスの本家CESと同じですね。

 私は「HKTDC Hong Kong Electronics Fair(香港エレクトロニクス・フェア)」と「Global Sources Electronics Trade Shows」の2つの展示会を合わせて“香港ショー”と勝手に呼んでいるんですが、この香港ショーは2つとも出展者、来場者ともにその目的がCESとは大きく異なります。

 香港ショーはODM(※)の提供事業社と、ODMで自社製品を生産したい企業とのマッチング・イベントなのです。2つの展示会を合わせると東京ビッグサイトの約3倍(※)にもおよぶ展示スペースになりますが、そのほとんどをODM製品が埋め尽くしている。来場者はほぼすべてバイヤー(業者)です。

約9万3000人のバイヤーが来場した。香港エレクトロニクス・フェア(春)
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※ODM……ODMはOriginal Design Manufacturingの略。委託者の依頼を受けて、製品の設計・デザインから製造までを行う生産形態あるいは、そうしたサービスを受託できる企業のこと。同じような言葉にOEM(Original Equipment ManufacturingあるいはOriginal Equipment Manufacturer)があるが、こちらは基本的に設計・デザインは委託者が行い、生産を受託者が行う。ODMを受託できる工場は一般に技術力が高く、自社ブランドでも製品を販売することも多い。


※東京ビッグサイトの約3倍……東京ビッグサイトの展示場の総延床面積は約8万平米程度で、HKTDC Hong Kong Electronics Fair(香港エレクトロニクス・フェア)が開催されるHKCEC(香港コンベンション&エキシビションセンター)が約16万平米、Global Sources Electronics Trade Showsが開催されるAWE(AsiaWorld-Expo)が約7万平米程度。


──バイヤー中心ということは、一般の方はあまりいないということでしょうか? 商談スペースもかなり広いと聞いたことがあります。

岩佐: 商談スペースが広いというより、商談しかしませんので、一般来場者はいません。CEATECなどと違ってコンパニオンがほとんどいないというのも特徴ですね(笑)。

 出展者は大きく3つのパターンがあります。ODM/OEMの提供事業社、部品(コンポーネント)を売っている企業、そして数は少ないのですが、自社ブランドの製品を展示している企業です。みんなが知っているような大メーカーはほぼいません。内訳はOEM/ODMが7割、部品が2割、自社ブランド製品が1割といった印象ですね。

 来場者であるバイヤーは、出展されているODM製品をながめて回り、色やロゴなどを変えて自社仕様にして販売することを目的にしています。そのほかに、ODM提供社の自社ブランド品を輸入する代理店などもそれなりにいます。

 例えばディスカウントストアチェーンや、パソコン周辺機器メーカー、電子文具なども扱う文具メーカー、アキバ系の商社というか販売店の人などはよく見かけます。日本の展示会だと、東京ビッグサイトで開催される「東京インターナショナル・ギフト・ショー」がやや近い感じです。

──日本企業は香港ショーに出展しているのでしょうか?

岩佐: 有名企業は全くといっていいほど出展していませんね。中小規模のメーカーが数社出展しているのを見ましたが、全体の数から見るとほぼゼロに近いですね。

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24の国と地域から3400社が出展。最新のテクノロジーや製品をお披露目した