ソニー、ディズニー、AOLなど国内外の名だたる企業で経験を積み、米アップルの本社で副社長も務めた前刀禎明氏が米アマゾン・ドット・コムが発売した円形タッチスクリーン付きスマートスピーカー「Echo Spot」について考察する。この製品に見る、誰しも犯す可能性があるマーケティング上の錯誤とは何なのか。

アマゾンの円形タッチスクリーン付きスマートスピーカー「Echo Spot」。販売価格は1万4980円(税込み)
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 米アマゾン・ドットコムの円形タッチスクリーン付きスマートスピーカー「Echo Spot」が、日本でも2018年7月26日に発売されました。今回はEcho Spotを題材に、製品のデザインやユーザー・インターフェース(UI)を考えてみようと思います。

円形ディスプレーは情報提示に向かない

 Echo Spotの最大の特徴は、半球状のスマートスピーカーに直径64mmの円形タッチスクリーンを搭載したことです。天気予報やニュース、ユーザーのスケジュール、料理のレシピといったコンテンツを表示できるとしています。円形にしたのは、置き時計風のデザインで生活になじみやすくする、親しみやすさやかわいらしさを訴求する、といった理由があるとされています。

 狙いは理解できるのですが、このUI、僕は無理があると感じています。今あるデジタルコンテンツのほとんどはテレビやパソコン用ディスプレー、スマートフォンでの表示を前提にしているので、画面は四角形。それを円形のディスプレーに表示すれば当然、端が欠けてしまいます。情報によっては改行、センタリングして表示されますが、見やすさ重視で最適化する機能はないので、変なところで改行されたり、文章の一部が画面に表示されていなかったりして、読みづらいし不格好です。

写真はレシピ動画サイト「DELISH KITCHEN」のレシピを表示したところ。料理名の一部が表示されない
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 写真や動画を四角形のまま、端が切れないように全体を小さくして表示することもできますが、円形ディスプレーがそもそも小さいので、写真も動画も非常に小さく見づらくなってしまいます。筐体をあまり大きくしたくない意図があってディスプレーも小型にしたのは分かりますが、その割にベゼル(ディスプレーの額縁部分)が太いのが不可解ですね。この形、この大きさのディスプレーでは、情報提示の機能に難ありと言わざるを得ません。

端が切れないように表示することもできるが、画面全体が小さくなる
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