テンプレ化したスマホゲーム作りはもう通用しない

――Nintendo Switch(以下Switch)対応のタイトルの発売は、結構早かったように思います。

松田氏: Switchの発売に合わせて、『ドラゴンクエストヒーローズI・II for Nintendo Switch』と『いけにえと雪のセツナ』を発売しましたし、『みんなでワイワイ!スペランカー』や完全新作の『Project OCTOPATH TRAVELER(プロジェクト オクトパストラベラー)』も今後発売することを発表しました。

 Switchに強い興味を持っているクリエイターは、どういう遊びができるか挑戦したいと意気込んでいます。プラットフォームが増えるということは、コンテンツメーカーにとってはいいことです。Switchにはぜひ成功してもらいたいです。新規タイトルの開発はもちろん、既存のゲームタイトルでも可能なものはどんどん移植したいと考えています。

 任天堂さんはいろいろな遊びを提案されます。Switchの特性を生かして「えっ?」と驚くような遊び方を提供する会社はほかにもあるかもしれませんね。ただ、われわれにはわれわれのやり方がありますから、Switchの機能を生かした自分たちが得意なゲームを作っていきます。

――2016年前半のスマホゲームビジネスは厳しかったというお話でした。

松田氏: 2016年度上期にリリースしたタイトルは総じて苦戦しました。お客様の目が肥えてきていますし、市場としては成熟したといわれています。しかし、「成熟=衰退」ではありません。当たり前の話ですが、そのゲームがほかと違って何が面白いのかということがストレートに問われるようになっただけだと思います。

 これまではスマホゲーム市場が成長し続けていたので、テンプレートというか、成功の方程式みたいなものが存在していました。このパターンのゲームとこのパターンのゲームを掛け合わせるとこうなります、というもくろみが当たることが多かったわけです。しばらくは、そのやり方で成長していけるゲーム会社があったかもしれません。ところが、今となってはそういうやり方は通じないですよね。

 スマートフォンの記憶容量に限界もありますし、お客様のプレー時間の取り合いにもなっています。まずはスマートフォンの中にゲームをダウンロードしてもらわなければならないし、それまでに遊んでいたゲームからその座を奪い取らなければならない。それには他社のゲームと何が違うのかを突き詰めなければならないわけです。

 だから、今年のテーマは「Something Else(ほかと違うもの)」にしています。ほかと違うものがないとダメだと、社員には話しています。商品企画・開発とは本来そういうものですから。しかし、いつの間にか、何かのパターンと何かのパターンを掛け合わせて、「×××風」のゲームにしたという企画が多くなった。スマホゲームの黎明(れいめい)期なら、それで済んだかもしれませんが、それはもう過去のものです。

 今はゲームをきちんと作れる会社が求められているのです。最近のスマホゲーム市場で優勝劣敗がハッキリしてきたのは、しっかりとしたゲームであるかどうかが見極められているからではないかと思います。標準化して、テンプレート化して、を繰り返していくと、ゲームはつまらなくなっていく。コンテンツとしての質を問わずに、単にKPIのみを重視して開発・運営すれば成功するという時代は終わって、「Something Else」が当たり前に求められるようになったのです。

――そうなるとコストや開発期間など、どんどん増加していくことになりませんか。

松田氏: そういう見方もありますが、そこは、ゲーム会社としての力量が問われるところです。お客様の期待を上回るような新しい体験を提供できるか、そこにかかっています。そうして切磋琢磨(せっさたくま)して開発して、新しいゲームを作りだした企業が業界をけん引していく。その繰り返しだと思うんです。そういう意味では『ポケモンGO』の登場など想像がつかなかったし、それを見てからは逆に自分たちの強みを生かして勝負していかなければならないと意を強くしました。

『ドラゴンクエストヒーローズI・II for Nintendo Switch』
(C) 2015, 2016, 2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX All Rights Reserved
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『いけにえと雪のセツナ』
(C) 2016,2017 Tokyo RPG Factory Co., Ltd. All rights reserved.
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『みんなでワイワイ!スペランカー』
(C) 2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
(C) 1983-2017 Timothy G. Martin / Tozai, Inc. All Rights Reserved. Spelunker is a trademark of Timothy G. Martin and Tozai Games is a trademark of Tozai, Inc. registered or protected in the US and other countries.
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『Project OCTOPATH TRAVELER(プロジェクト オクトパストラベラー)』
(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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