日本を代表する漫画家・井上雄彦さんが、20年に一度行われる伊勢神宮の「式年遷宮」を記念して描いた『承(しょう)』。横180cmに及ぶ長尺の和紙に描いた渾身の墨絵が「伊勢志摩サミット」を控え、盛り上がりを見せる三重県・伊勢市で4月27日から公開される。

『承(しょう)』
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この記事は「日経おとなのOFF」2016年2月号(2016年1月6日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 2013年秋、伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮祭を終えた。内宮をはじめとする神殿や、調度品などの御裝束(おんしょうぞく)ぞく神宝が一新。神々は旧社殿から新社殿へと遷(うつ)り、新たな歴史を刻み始めている。

井上雄彦(Inoue Takehiko)
漫画家。代表作に国内発行部数1億部を突破した『スラムダンク』、連載中の『リアル』『バガボンド』がある。文化庁芸術選奨新人賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞など受賞多数。美術館全体を使った「井上雄彦 最後のマンガ展」、真宗大谷派東本願寺へ描き下ろした屏風絵『親鸞』の制作など、これまでの枠を超えた活動も反響を呼んでいる
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 62回を数える式年遷宮の歴史は、古く飛鳥時代にまで遡る。持統天皇の御世(みよ)に、第1回の式年遷宮(690年)が行われて以来、戦国時代の混乱期に中断を挟むものの、およそ1300年にわたって脈々と続けられてきたのだ。

 この式年遷宮を奉祝し、『バガボンド』などで知られる漫画家の井上雄彦さんが描き上げたのが、『承(しょう)』と題した墨絵だ。伊勢神宮から始まり、全国11カ所での公開を経て、昨年11月には神宮徴古館で奉納式が行われた。

 「墨と紙の命に任せ、描き手の僕の存在をなくしたい」という思いで、『承』の制作に取りかかったという井上さん。何度も伊勢へ足を運び、お白石持(しらいしもち)行事といった式年遷宮の行事や神嘗祭(かんなめさい)にも参列。日本を代表する漫画家が、伊勢という場所や歴史、遷宮に関わる人たちと触れ合うことで何を承うけたまわり、自ら描く絵に昇華させていったのか。今は井上さんの手を離れ、未来へ放たれた『承』は、4月27日から6月27日まで外宮にあるせんぐう館で再び公開される予定だ。

昨年11月に神宮徴古館で行われた奉納式の様子。墨絵『承』が井上さんから、神宮徴古館・せんぐう館の河合真如館長に手渡された。「全国を巡回しておよそ20万人の人に見てもらい、やっと伊勢に戻ってきました」と河合館長。井上さんには感謝状が送られた
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せんぐう館