自分改造計画その6:健康的な習慣を身に付けよう!

 ところで、習慣とは何でしょうか?

 辞書的に言えば習慣は、「長い間繰り返し行ううちに、そうするのが決まりのようになったこと。その国やその地方の人々の間で、普通に行われる物事のやり方、社会的なしきたり。心理学で、学習によって、後天的に獲得され、反復によって固定化された個人の行動様式」を示します。また、「American Journal of Psychology」では、心理学の観点から、習慣とは、「以前の繰り返しの精神的な経験を通じて獲得した、多かれ少なかれ、固定された考え方、喜び、感じ方のこと」と定義しています。

 新しい習慣は21日で身に付くという、「21日ルール」神話があります。「21日ルール」は、1960年に米国の形成外科医、マクスウェル・マルツ医師著の『Psycho-Cybernetics』に記されています。マルツ医師は、「通常、心の中でわかるまでの変化をもたらすためには、最短で約21日以上かかる。例えば、整形手術の後には、彼の新しい顔に慣れるまで、約21日かかる。腕や脚が切断された場合、幻肢(まだ腕や脚があるかのような感覚)は約21日間持続する。新しい家に住む人は、それが自分の家のように感じるまで、約3週間は住む必要がある」と説明していますが、実際、どうなのでしょうか? 21日間、ヘルシーなライフスタイルで過ごせば、その習慣が身に付くのでしょうか?

 ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士らは、平均27歳(21~45歳)の学生96人(男性30人、 女性66人)を対象に84日間、1日1回新しい習慣を繰り返させ、どのように身に付くのかを調査しました。

■参考文献
Wiley Online Library「How are habits formed: Modelling habit formation in the real world


 結果は、習慣が身に付くまでの平均時間は66日で、参加者の間で18日から254日まで個人差がありました。当然、より複雑な行動が習慣になるには時間がかかりました。例えば、毎朝コップ1杯の水を飲むというようなシンプルなものに比べて、定期的な運動の習慣づけはかなり大変でした。 運動の習慣を選択した参加者は、 飲食に関する習慣を選択した参加者と比較して、身に付くまでに約1.5倍長くかかりました。また研究では、期間中、新たに始めた習慣を1日実践しなかった場合に、習慣の発展にどのような影響を与えるかも検討しました。もし、たった1日やらなかったことが致命的なら、健康的な習慣を身に付けることはとても難しいことになりますが、長期的には問題ありませんでした。

 日々の努力による変化は、とても小さく、大きな変化を得るには時間がかかります。 ただし、例えば、「今日は一駅分歩いた」「夕食はヘルシーなものを食べた」「テレビはやめて、早めに寝た」といった行動の変化で、体型や考え方がすぐ変わるわけではなくても、「よく頑張った。いい1日だった!」と気分が良くなるはずです。そしてその習慣を、少なくとも2から3カ月は続けてみてください。かかる時間に個人差はあっても、まずご自分の中での小さな変化が、そのうちに他人にも分かるほどの大きな変化になりますよ。

著者

大西睦子(おおにし・むつこ)

大西睦子

医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。