2018年9月29、30日の2日間、東京・浅草の産業貿易センター台東館で第一回東京インターナショナルペンショーが開催された。告知はほぼFacebookだけだったにも関わらず、2日間で約1600人が来場。この数字はペンショーとしては世界一の来場者数だったという。

 静岡の文具店「ブングボックス」の代表で今回のイベントの実行委員長、山岸薫氏が2016年に表参道に「ブングボックス」を開店。東京でペンショーを開催したいと考えたのが、今回のイベントの始まりだったという。「海外のペンショーなどに行っていろいろ見ていたが、東京では似たようなイベントがないと気づき、小規模でいいから何かやれないかと考えていた」と山岸氏。そのころ、ロサンゼルスのペンショーなどの常連だった日興エボナイトの遠藤智久氏が同じことを考えていたのを知り、フューチャープラントの武山昌裕氏、しまや出版の小早川真樹氏が加わって、東京インターナショナルペンショー実行委員会ができた。

東京で初めてのペンショーながら、いきなり大盛況。会場は7階で、開場前にすでにビルの外まで長い行列ができていた。若い女性客の多さが目立つのが、従来のペントレーディングイベントとは異なる
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東京インターナショナルペンショーの実行委員長である山岸薫氏。後ろにいるのは、このイベントのキャラクター「ファーストペンギン」
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 「最初は、もっと小規模でやるつもりで、会場も産業貿易センター台東館のホール半分を借りていた。でも、いろいろと声を掛けていく内に出展者がどんどん集まり、もともとは安全のために空けてあったホールの残り半分も使用することになり、全ホールで2日間やることになった」と山岸氏。その判断は見事に当たり、当日は、開場前から行列ができ、7階のホール前から階段1階まででも並びきれず、台東館の外まで列ができていたという。しかも、各日50本、限定100本のインク「南極海の青」は、2日とも開場して数分で完売した。

 「若い女性が万年筆の世界に入ってきているタイミングで開催できたのは良かった。インクのために並ぶ『インク女子』がたくさん来てくれた。そういう方々が、書く楽しさを広めてくれたらなあと思う。このイベントのコンセプトが次世代へ『書く』ことの素晴らしさを伝え、広め、残すということなので」と山岸氏。会場は若い女性が目立つ。そして、彼女らだけでなく、男性も含め、多くの人がインクの試し書きに列を作っている。特に、東京では目にしにくい、関西や地方のオリジナルインクには人気が集まっていた。

山岸薫氏が代表を務める「ブングボックス」のブースでは、東京メトロ各線のカラーをモチーフにしたインクや、東京メトロ90周年記念万年筆「GINZA LINE」などを展示販売していた
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長崎の文具店、石丸文行堂のブースは、そのときの気分に合わせてインクを選ぶ「カラーバーインク」が人気。たくさんのオリジナルインクから、好きな色を選べる
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 「海外のペンショーでは、ほとんどがビンテージの万年筆や筆記具が中心で、このイベントのように、インクや紙、文房具やペンケースといった万年筆周辺のものを扱うところは少ない。しかし最近のサンフランシスコのペンショーではインクを扱う出展者もいて、こういう傾向は今後、世界に広がっていくのかもしれない」と山岸氏。

 会場はマニアックな万年筆の取引の場所という感じではなく、「書く」ことが好きな人々が、万年筆やガラスペンを使って、気に入ったインクで気に入った紙に書くという、自分だけの環境を探しに来ている、といった趣がある。

■変更履歴
会社名に誤りがありました。正しくはフューチャープラントです。また、イベントのコンセプトは、正しくは「次世代へ『書く』ことの素晴らしさを伝え、広め、残す」です。お詫びして訂正します。[2018/10/15 16:55]