2018年9月25日にオープンした日本橋高島屋S.C.新館。周囲のオフィスワーカーの利便性を重視したユニークな構成で、「出勤時はコンビニしか空いていない」「早朝営業している数少ないカフェは満員で入れない」という不満を解消すべく、朝早くからオープンする飲食関連の店を多くそろえているのが特徴だ(関連記事「日本橋高島屋新館開業、『営業時間バラバラ』の理由」)。
7時半から焼きたてのパンが買える!
地下1階の入り口横にある「リチュエル」は、パリでも大人気のブーランジェリー(パン店)だ(関連記事 「パリ随一のパン職人が“菓子パン専門店”で日本初上陸!?」)。7時半から営業しており、イートインスペースもあるので、出勤前にここで朝食をとることもできる。また、同店のある地下入り口は、東京メトロ日本橋駅のB4出口のすぐ近く。店内のエスカレーターで地上に出られるので、通り抜けのルートとしても重宝しそうだ。
朝食にうってつけの食のショップが充実しているのが1階。代々木上原の人気ベーカリー「365日」の商業施設初出店となる「365日と日本橋」のほか、「紀伊国屋アントレ」「ニュートラルワークス.スタンド」「銀むすび」「神戸牛のミートパイ」などが、朝7時半から営業している。イートインスペースがあるのは「DEAN & DELUCA カフェ 日本橋高島屋S.C.」、サンドイッチ専門店「ポタスタ」、粥専門店「カユ・デ・ロワ 日本橋」など。これだけ朝食需要を豊富に満たせる商業施設も珍しく、日本橋の朝の定番スポットとなりそうだ。
昼食に使いやすいイートイン店舗も充実
忙しいビジネスパーソンにとって、限られた時間でいかにおいしい昼食を調達するかは日々の重要課題だ。高島屋本館の地下食料品売り場の種類の豊富さと質の高さには定評があるが、イートインスペースが少ないことに不満の声が多かった。そこで新館の地下1階では、ほぼすべての店にイートインスペースを設けた。各店舗の席数はあまり多くはないが、「ザブトン」「カイノミ」など肉の部位ごとに選べる焼肉弁当を提供する「東京精肉弁当店」をはじめとして、弁当やデリも非常に充実している印象だ。
1階には、オーストラリアの人気ジェラートショップ「N2 Extreme gelato」が手掛けるオールデイダイニング「N2 Brunch Club(エヌツーブランチクラブ)」が日本初出店。6階、7階はレストランフロア。特に7階は広々としたテラス席を設けている店が多く、街を見下ろしながら、ゆったりランチが楽しめそうだ。
女性受けが良さそうなのが、「ふじヱ茶房」。元禄3年(1690年)に日本橋で茶商として創業した歴史を持つ山本山が運営する。老舗海苔店ならではの「海苔めん」「海苔にぎり巻き」が落ち着いた雰囲気で楽しめる。
日本文化を体験できるカフェも
ショートケーキ専門店併設の地下1階の「パリヤ」、3階の「cafe VAVA(カフェ ヴァヴァ)」などカフェも充実しているが、注目は4階の「茶論(さろん)」だ。生活雑貨などを扱う中川政七商店グループが展開しており、奈良に次ぐ2店舗目。
店内は茶道具の物販、喫茶、茶道の稽古場という3つのエリアで構成されている。体験稽古は要予約(税別3000円)だが、喫茶コーナーでも希望すれば自分で茶を点(た)てることができる。初心者にはスタッフが丁寧に教えてくれるという。海外からの来客を連れていっても喜ばれそうだ。
デパ地下なのに23時まで営業!
地下1階には、持ち帰ってそのまま食卓に並べられるデリを販売する店も多く、共働き世帯に喜ばれそうだ。特に「成城石井」は23時まで営業しているので、遅くなっても安心だ。
飲食関連の店を見る限り、日本橋のオフィスワーカーのニーズをよくリサーチしているようだ。「ニュートラルワークス.スタンド」の目的別の栄養成分を表示したデリや、サンドイッチショップ「ポタスタ」の店内でしぼったジュースなど、多忙で健康志向の高い利用者に向けてさまざまな配慮がされているのを感じた。高島屋の木本茂社長は「百貨店の編集力と専門店の流行感度の高さを融合させたのが同施設」と語ったが、その感度の高さを特に感じたのが地下1階。その詳細については次回の記事で紹介する。
(文/桑原恵美子)