プロジェクションマッピングやデジタルアートを手がけるチームラボ。2018年6月21日に東京・お台場に開業した森ビルと共同で運営するデジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless(以下、チームラボ ボーダレス)」は、国内外から注目を浴びており、連日チケットが完売という状況が続いている(関連記事「トランポリンで宇宙遊泳 チームラボのデジタル美術館 」)。
そのチームラボの作品を楽しめる新たな施設「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com(以下、チームラボ プラネッツ)」が、2018年7月7日、東京・新豊洲にオープンする。
この施設の面白いところは、入口で靴をロッカーに預けて、はだしになって鑑賞することだ。「足元がぬれる場所がある」(チームラボ広報)というのがその理由だが、一体どんな施設なのだろうか。
「膝まで水につかる展示」に衝撃
作品は全部で7つ。施設内はいくつかのエリアに分かれている。ロッカーがある場所から鑑賞エリアに入って暗い通路を進むと、遠くから水の音が聞こえてくる。そのまま進むと足元に階段が現れるが、なんとその階段には滝のように流れる水が。足で水をかき分けて階段を上り、次のエリアへと進む。
次に現れたのは、一見なんの変哲もない空間。だが、足元には軟らかいクッションが敷き詰められており、鑑賞者はその上を通って次のエリアへと移動する。クッションの上を歩くのは砂に足を取られるような感覚で、まともに歩いているつもりでもつい転んでしまう。そのため、あちこちで笑いが起こっていた。お台場のチームラボ ボーダレスは視覚に訴える作品が多いように感じたが、ここは体全体で作品を体験する施設のようだ。
チームラボ ボーダレスより「大人向け」
特に衝撃だったのは、膝まで水につかりながら進むエリア。空間に水を張り、そのなかに泳ぐ鯉や花を投影している。足で感じる水の冷たさや目に飛び込む映像の美しさに癒やされ、時間を忘れて立ち止まってしまった。
お台場のチームラボ ボーダレスがエリアを超えて移動する作品や子ども向けの教育プロジェクトを併設した「動的」な施設であるのに対し、チームラボ プラネッツは何も考えずに作品の世界観に没頭できる「静的」な施設といえるだろう。曜日を問わず25時まで営業しているのも、疲れた大人にうってつけかもしれない。
NYに常設展も開業予定
チームラボ プラネッツを開業したきっかけは、2年前にさかのぼる。2016年夏に、東京・お台場で約1カ月半の期間限定でチームラボの作品を展示したイベントを開催したところ、連日入場制限がかかるほどの人気に。最終日までに約21万人が来場したが、「並んだものの、入場制限で入れなかった人を残したままイベントの会期が終了してしまったことがずっと心残りだった」と、イベントを企画したPLANETS(プラネッツ)の野本巧社長(2016年当時はDMM.com CCO)は振り返る。
そこで、より多くの人に作品を体験してもらいたいと考えて、新たにチームラボ プラネッツとして開業したという。だが、土地の賃貸借契約などの事情もあり、営業期間は2020年秋まで。今後、新たな場所を探して常設するという考えはないのだろうか。
それについて野本社長は「2019年以降、ニューヨークで常設の施設を開業する予定がある」と説明する。実は、2016年のイベント当時も来場者の約3割が外国人だったという。「外国人ははだしになって鑑賞することに抵抗があるのではないかと心配したが、楽しんでいる人がほとんどだった。美術館やギャラリーが多く、アートに親和性のあるニューヨークで、世界中のたくさんの人にチームラボ プラネッツを体験してもらいたい」(野本社長)。
(文/樋口可奈子)