日本最大級のバスターミナル「バスタ新宿」の開業で人の流れが大きく変わりつつある新宿エリア。その変化をさらに加速させそうなのが、2016年3月25日、新宿駅新南口前にオープンしたルミネの新商業施設「ニュウマン」(NEWoMan)だ(関連記事:“大人ルミネ”は何が違う? 新宿「NEWoMan(ニュウマン)」の狙いとは)。
第一期はアパレルや雑貨店中心だったが、4月15日にはいよいよ食を中心とした第二期がオープン。日本初上陸レストランやカフェ、新業態のフードショップ、物販店など、フード関係のショップがそろった。
ただ、第二期は新宿駅新南口ビル2階フロアにありながら改札内の「エキナカ」と改札外の「エキソト」に分かれており、初めて訪れた人は迷いそう。そこでまず覚えておきたいのが、「買うならナカ、食べるならソト」。レストランやカフェは新南口ビルの外側にあり、テイクアウト用スイーツなどの物販店は改札内に集中しているのだ。
「カスタマイズピザ専門店」と「デザートバー」に注目
まずはしっかり食事を楽しみたい人向けに、エキソトのレストランから紹介する。
注目は何といっても日本初上陸店。なかでも「800 ディグリーズ ナポリタン ピッツェリア(800 DEGREES NEAPOLITAN PIZZERIA)」と「JANICE WONG(ジャニス・ウォン)」は新宿駅南口から甲州街道をはさんだ向かい側に2店並んでいるので非常に目立ち、“2枚看板”といった印象だ。
800ディグリーズ ナポリタン ピッツェリアは“カスタマイズピザ”ブームの火付け役といわれる米国ロサンゼルス発の人気ピザレストラン。約40種類の具材から自分でカスタムメイドでき、名前の由来でもある華氏約800度(摂氏427度)の薪窯で約90秒間で焼き上げるのが特徴。注文した客がカウンターを離れる前に出来上がってしまうこともあるとか。
女性の長い行列が必至なのは、2年連続で「アジアのベスト・ペストリー・シェフ」に選ばれている女性パティシエ、ジャニス・ウォンによるデザートバー「ジャニス・ウォン」。キッチンとカウンターが一体化した“ライブキッチン”では、注文のたびに目の前でプレゼンテーションするようにスイーツを作り上げる。斬新な素材の組み合わせは“食べられるアート”ともいわれ、世界中の有名シェフからも注目の的。バーなのでアルコールとの組み合わせを重視しているが、今回の店ではノンアルコールのドリンクも充実させたという。
甲州街道から向かって右側奥には複数の飲食店が集合した「フードホール」があり、席数が多くゆったりした店、インパクトのあるインテリアの店が並ぶ。シンガポールで人気のオイスターバーや、バスク地方料理の店などがあり、異国情緒も味わえそうだ。
会食向きの店が集まる「フードホール」
新宿サザンテラス側にはレストランが集まった「フードホール」がある。おしゃれでありながらゆったりした雰囲気で、会食向きの店が多い印象だ。
デパ地下を超えた!? ユニークな手土産フードが集まるエキナカ
食の物販店が集中するエキナカ・エリアで注目を集めそうなのは、日本初上陸のシュークリーム専門店「シューダンフェール パリ(CHOUX D'ENFER PARIS)」。史上最年少で3つ星を獲得したアラン・デュカス氏と、パリの5つ星ホテル「プラザ・アテネ」のシェフパティシエであるクリストフ・ミシャラク氏のプロデュースでクリーム詰めたてのプチシューを提供する。
一見するとデパ地下のような印象。だが、デパ地下よりはるかに“攻めている”印象が強いのは、「ここに来なければ買えない」という個性的な商品が多いせいだろう。
地域の個性的な店を紹介する試みが多いのも見どころ。日本のものづくりを発信するプロジェクトとして展開してきた「ココルミネ」の実店舗では、地域の作り手とともに企画開発したユニークなオリジナル商品が並ぶ。「えんなり」では地方で人気の和菓子のセレクトショップが約3~4カ月のサイクルで出店する。
同じビルの3、4階がバスターミナルなので、帰省客や外国人観光客の手土産需要を強く意識している印象。さらにフードホールの店の一部は朝7時から翌朝4時までオープンしており、深夜に出発するバスを待つのにも便利。巨大駅と巨大バスターミナル直結の便利さを最大限に生かした“攻め”の店舗展開で、人気を呼ぶのは間違いなさそうだ。
両口屋是清の新ブランド「結(ユイ)」の説明で、「写真は5月5日まで期間限定で販売するひとくちサイズの和菓子『なまささら』(6個入り1500円)」としておりましたが、正しくは「写真の『ふゆうじょん』はあんが入った焼き菓子にチョコレートをコーティングした新感覚の和菓子(6個で1200円)」でした。お詫びして訂正いたします。該当箇所は修正済みです。 [2016/4/15 12:30]
ちょっと休憩したいときは“エキソト”のカフェへ
甲州街道から見て新南口ビルの裏側に位置するのが、コーヒーやジュース、スイーツ、グロッサリーなどを販売し、イートインスペースもある店が集まるエリア。米国カリフォルニアの人気コーヒーショップ「ヴァーヴ コーヒー ロースターズ(VERVE COFFEE ROASTERS)」が日本初出店し、「ディーン アンド デルーカ カフェ(DEAN & DELUCA CAFE」ではサードウェイブの次にブームが来るといわれている「コールドブリュー(水出し)コーヒー」が味わえる。
多くのカフェはイートインの席数が少ないが、物販は充実。とらやの新業態「トラヤカフェ・あんスタンド」では「あんコッペ」「あんトースト」を提供。瓶入りのあんペーストのアンテナショップのような狙いなのだろう。
(文/桑原恵美子)