2016年11月の第1期オープン以来、ご当地色を強く打ち出し、かつ地元での知名度が高い有名店を全国から集めたゾーンとして人気を集めている、東京駅の「にっぽん、グルメ街道」(関連記事「“白エビ90尾丼”が東京駅グルメの新名物に!」)。2017年3月25日に4店舗が加わり、合計8店舗でグランドオープンとなった。

 行列必至なのは、ミシュランガイド広島2013特別版にも掲載された、東京初出店となるお好み焼き専門店「広島 電光石火」。またJR鹿児島中央駅前の行列のできる店として有名な黒豚とんかつ専門店「鹿児島 黒かつ亭」も県外初出店。築地で人気の明太子料理・九州の郷土料理専門店「博多かねふく ふく竹」が新業態でオープンするほか、「東京みやげセンター」「諸国ご当地プラザ」などで物販を中心に行ってきたオオモリが干物と地酒の店「諸国 ひものと」を初出店する。

 同ゾーンの一番北側には、北海道の立食い寿司「函館立喰い寿司 函太郎」があり、仙台牛タン 炭火焼「杜」、シウマイBAR「横濱 崎陽軒」、天丼/海鮮丼「富山 白えび亭東京駅店」と続いていた。つまり第1期で北海道、宮城県、神奈川県、富山県までがオープン、第2期で広島県、福岡県、鹿児島県の人気店がオープンして、日本を縦断する“グルメ街道”が完成したわけだ(一番南側の「ひものと」は全国の干物を提供)。

 新たにオープンした4店舗はどんな店なのか。オープン直前の内覧会に足を運んだ。

「にっぽん、グルメ街道」は八重洲側の商業施設「東京駅一番街」内にある
「にっぽん、グルメ街道」は八重洲側の商業施設「東京駅一番街」内にある
広島で人気のお好み焼き店「広島 電光石火」は東京初出店
広島で人気のお好み焼き店「広島 電光石火」は東京初出店
築地で人気の明太子料理・九州の郷土料理専門店「博多かねふく ふく竹」
築地で人気の明太子料理・九州の郷土料理専門店「博多かねふく ふく竹」
鹿児島の中心に2店を構える黒豚とんかつ専門店「鹿児島 黒かつ亭」は東京初出店
鹿児島の中心に2店を構える黒豚とんかつ専門店「鹿児島 黒かつ亭」は東京初出店
「東京みやげセンター」「諸国ご当地プラザ」などで物販を中心に行ってきたオオモリ初の飲食店業態・干物と地酒の店「諸国 ひものと」
「東京みやげセンター」「諸国ご当地プラザ」などで物販を中心に行ってきたオオモリ初の飲食店業態・干物と地酒の店「諸国 ひものと」

ザ・ブルーハーツの曲をイメージしたお好み焼き!?

 電光石火は11年前にオープンし、広島県内に4店舗、愛媛県に1店舗を運営。同店のお好み焼きはその立体的なフォルムから“3Dお好み焼き”と呼ばれ、ミシュランガイド広島でビブグルマンに掲載されている。

 さっそく、看板メニュー「電光石火」を注文した。広島のお好み焼きはつぶして平らにし、広く焼くのが一般的。しかし同店では野菜を押さえず、ふんわり小高く持って焼き上げる“3Dスタイル”だ。さらに、電光石火は卵を2個使ってオムライス風に包んである。

 食べてみると、キャベツのみずみずしい食感が残り、味も非常に甘く感じる。またキャベツに混じった青ジソの効果で、お好み焼きなのに爽やかな味わいに仕上がっているのにも驚いた。ちなみに店名の「電光石火」をはじめ、メニュー名の「人にやさしく」「夢」「キングオブルーキー」「ダンスナンバー」は、店長が愛するザ・ブルーハーツの曲名に由来しており、歌詞をイメージしてメニューを考案したそうだ。

青ジソ入りのキャベツをふんわり小高く盛り、空気を入れながら火を通すのが「電光石火」スタイル
青ジソ入りのキャベツをふんわり小高く盛り、空気を入れながら火を通すのが「電光石火」スタイル
肉・卵ダブル・そばorうどん・イカ天・大葉・ネギかけの「電光石火」(1250円)は大葉の香りの爽やかさに驚いた。つぶさないのでキャベツのみずみずしさが残り、味付けも薄めなので、見た目よりさっぱり食べられる
肉・卵ダブル・そばorうどん・イカ天・大葉・ネギかけの「電光石火」(1250円)は大葉の香りの爽やかさに驚いた。つぶさないのでキャベツのみずみずしさが残り、味付けも薄めなので、見た目よりさっぱり食べられる
手前から「電光石火」、肉・玉子・そばorうどん・イカ天・イカ・エビ・ネギかけ・目玉焼きの「夢」(1460円)、肉ダブル・玉子・そばorうどん・カキ・大葉・ネギかけ・刻み海苔の「人にやさしく」(1560円)メニュー名はザ・ブルーハーツの曲名にちなんでいるが、ネーミングの由来は何となくだという
手前から「電光石火」、肉・玉子・そばorうどん・イカ天・イカ・エビ・ネギかけ・目玉焼きの「夢」(1460円)、肉ダブル・玉子・そばorうどん・カキ・大葉・ネギかけ・刻み海苔の「人にやさしく」(1560円)メニュー名はザ・ブルーハーツの曲名にちなんでいるが、ネーミングの由来は何となくだという

六白黒豚の希少部位を使った「特上ロースカツ」にも注目

 電光石火の隣には、福岡の明太子メーカー「かねふく」運営の明太子料理・九州の郷土料理専門店「ふく竹」がオープン。同社は築地で夜営業のみの店も運営しているが、東京駅店ではランチ営業も行う。明太子液に漬けこんだ焼き鮭がメインの「鮭明太子御膳」(1200円)は、同店でしか食べられないという。

 とんかつ専門店「黒かつ亭」は黒豚の中でも特に人気が高い、鹿児島の「六白黒豚」を使用しているのが売り。肉自体に非常に甘みがあるため、下味にコショウを使用していない。特に脂身が濃厚な甘さでジューシーなのが特徴。なかでも注目は、その脂身の甘みが存分に味わえる「特上ひれかつ定食」(2290円)。1頭から4食分しかとれない希少部位のため、1日20食限定のレアメニューだという。

 最も北側にある「ひものと」は鮮度と旬を重視した干物を常時12種類ほど提供。今のシーズンのおすすめは、島根県西部沖でとれ、旬の時期はトロにも匹敵するほど脂の乗りが良いブランドアジを干物にした「どんちっち鯵」(980円)や、サバを火山灰で干して熟成させた「鯖 灰干し」(840円)など、干物の逸品ぞろい。朝7時から営業しているのでぜいたくな和朝食を味わいたい人に喜ばれそうだ。

 8店それぞれの素材や調理法にそれぞれ個性があり、店舗のラインアップにバランスの良さを強く感じた。「年代や性別を問わず、いろいろな人が楽しめる店舗構成を考えた。特に海外からの観光旅行客にとっては、短い滞在日数の中で日本の食の多様性を効率的に味わえるゾーンになると思う」(東京ステーション開発 営業部 営業課の古田高行氏)という言葉に、深く納得。東京駅には魅力的な飲食ゾーンが多く競争が激しいが、どの店も行列ができそうな勢いを感じた。

ふく竹の一番人気メニュー「かねふく明太もつ鍋」(1人前1800円/2人前から注文可能)には、野菜が見えないほどかねふくの明太子が盛られていて大迫力
ふく竹の一番人気メニュー「かねふく明太もつ鍋」(1人前1800円/2人前から注文可能)には、野菜が見えないほどかねふくの明太子が盛られていて大迫力
「明太子の天ぷら」(1200円)など明太子メニューが豊富
「明太子の天ぷら」(1200円)など明太子メニューが豊富
黒かつ亭の「黒かつ亭定食」(1890円)はヒレとロースの盛り合わせに豚しゃぶ付き。六白黒豚は肉繊維が細かいため、歯切れが良く軟らかい食感。クリーミーでとろけるような脂身の甘さにも驚いた
黒かつ亭の「黒かつ亭定食」(1890円)はヒレとロースの盛り合わせに豚しゃぶ付き。六白黒豚は肉繊維が細かいため、歯切れが良く軟らかい食感。クリーミーでとろけるような脂身の甘さにも驚いた
「ひものと」は島根県のブランドアジ「どんちっち鯵」の干物(980円)が売り
「ひものと」は島根県のブランドアジ「どんちっち鯵」の干物(980円)が売り
ひものとでは干物以外の加工品メニューも充実。写真は脂が乗った金華サバを上品な燻製に仕上げた「金華サバの生ハム」(840円)で、日本酒にもワインにも合う
ひものとでは干物以外の加工品メニューも充実。写真は脂が乗った金華サバを上品な燻製に仕上げた「金華サバの生ハム」(840円)で、日本酒にもワインにも合う

(文/桑原恵美子)

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