カフェやイートインで「滞在型消費」を訴求

 海外1号店を台北に決めたのは、2015年に行なった海外進出のためのプロモーションイベントがきっかけだ。ハワイやマレーシアでも開催したが、アトレ流のコンセプトが評価され、出店を熱望されたのが台湾だった。「アトレが取引する日本企業と出店すれば、台湾の人に喜ばれ、我々も世界への一歩を踏み出せる」。そんな思いから、ブリーズを手がける長僑投資開發股份有限公司にアプローチし、三井物産を通じて提携話が実現。3社で合弁会社を設立した。初年度売上目標は、ブリーズ南山全体で約70億元(約245億円)の計画だ。

  ブリーズ南山がある信義地区は、新光三越や誠品生活などの商業施設が集積するトレンド発信地。周辺には高級マンションも建ち並び、高所得者層が居住する。「少子高齢化などの影響で台湾経済は低迷が続くが、台北信義地区は活気があり、ポテンシャルは高い。観光客はもちろん、界隈の一流企業に勤めるオフィスワーカーから週末に遊びにくるファミリー、百貨店の買い回り客まで想定する客層は幅広い」と、伊藤総経理は話す。

オープン初日には、1000人を超す客が開店前につめかけた
[画像のクリックで拡大表示]

 筆者が実際に館内を見て回って感じたのは、コンパクトに集約した各フロアにカフェスペースが充実していることだ。台湾ではこれまで百貨店が小売市場を牽引してきたため、フロアを業種別に分けた施設が多かった。一方、アトレではショッピングの合間に気軽に過ごせるイートインやカフェを多数導入し、滞在型消費を促している。

 食テナントはECの脅威に勝つための切り札でもある。アトレ流が市場でどう広がりを見せるのかが注目される。

最寄りのMRT駅の構内にはは、ブリーズ南山アトレの開業を知らせる壁面ポスターが貼られていた
[画像のクリックで拡大表示]
ブリーズ南山1階のラグジュアリー通り。花のオブジェで飾られた華やかな天井の下には、ロエベやマックスマーラ、フランクミューラーといったハイブランドのショップが並ぶ
[画像のクリックで拡大表示]
商業棟とオフィス棟をつなぐ4階のスカイラインパーク。いつもと違うアングルから台北101を間近に望める
[画像のクリックで拡大表示]
商業棟4階の大型店店内から外にでると、緑あふれる屋外テラスデッキが広がり、眺望も抜群
[画像のクリックで拡大表示]

(文/橋長初代)