分離プランがファーウェイの躍進を加速する

 総務省は2018年11月26日に開催した有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で「端末購入を条件とする通信料金の割引等を廃止」などの緊急提言案を取りまとめた。これはつまり、通信料金と端末代を完全に分離した「分離プラン」の導入を徹底させるということだ。またこの提言では、4年間の月賦購入を前提とする端末代のサポートプログラムについても「利用者を過度に拘束するものである」として抜本的な改善を求めている。

 この緊急提言案が通れば通信料金の仕組みがシンプルになる可能性があるが、一方で端末を安く手に入れる方法がなくなってしまうことになる。それでも高額なハイエンドモデルを買うという消費者は多くない。高額な端末をキャリアに提供しているメーカー、具体的にはアップル、ソニーモバイルコミュニケーションズ、サムスン電子などが苦境に立たされるのは確実だ。

 その一方で、有識者会議の緊急提言が有利に働くのがファーウェイだ。理由の1つはラインアップの豊富さである。ファーウェイの場合、Mate20 Proのような高額モデルだけでなく、先行して発表した「HUAWEI Mate20 lite」など、低価格な端末ラインアップも豊富だ。高額モデルが売れないとなれば、キャリアも低価格モデルのラインアップを充実させる必要が出てくる。ファーウェイにとっては端末販売の拡大を図るチャンスというわけだ。

「HUAWEI Mate20 lite」は、ビックカメラの専売モデルとして11月30日より販売されている。「ビックカメラ.com」での販売価格は税込み4万2984円
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 また、分離プランが普及するとキャリアの端末を買う意味が薄れ、SIMフリー市場が存在感を増すことになる。スマートフォンメーカーとしては、キャリアだけではなく、自社で端末を販売する必要に迫られるだろう。だが、端末の販売やサポートをキャリアに依存してきたメーカーは、その部分が弱い。その点でも自社の販売・サポート拠点を積極的に整備しているファーウェイが有利になりそうだ。

 有識者会議の緊急提言案について、先述の呉氏は「市場競争環境から見てもグローバルに近い形になる。弊社としてはうれしく思う」と歓迎している。政府の取り組みが追い風となり、2019年以降もファーウェイの躍進が続きそうだ。

著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。