この記事は「日経トレンディ」2016年7月号(2016年6月3日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 参入が相次ぐアクションカメラ市場に、個性的な一台をオリンパスが投入する。「STYLUS TG-Tracker」は、「カメラではなくログ(行動履歴)を残せる映像機器」(オリンパス)と位置づけられた、新コンセプト端末だ。

 GPSで写真に位置情報を付加できるデジカメは以前からあり、決して新しくはない。TG-TrackerはGPSに加え、方位、加速度、気圧、温度の4つのセンサーを備えたのが特徴だ。このうちGPSと方位、加速度の3つのセンサーにより、記録される情報を位置という「点」だけでなく、移動経路という「動き」でも残せるようになった。気圧センサーのデータから高度を算出するので、上下方向の動きもわかる。

 撮影した動画をスマホやタブレットの専用アプリで再生すると、画面が2分割表示になり、撮影時の経路に沿って地図や標高図の上を点が動く。トレイルランの様子を撮った映像を見たところ、走行ルートや高低の変化を地図や標高図で見ながら動画を楽しめるのが、予想以上に面白かった。

オリンパス「STYLUS TG-Tracker」
予想実売価格/税別4万5000円前後
サイズ・重さ/幅35×高さ56.5×奥行き93.2mm・180g(バッテリーとメモリーカードを含む)
撮像素子/1/2.3型(720万画素)
開放F値/f2.0
焦点距離/13.9㎜相当(画角204〜94度)
モニター/1.5型・約12万ドット
ISO感度/100〜1600
シャッター速度/1/2〜1/24000秒
動画/4K(30p)
など

付属のガングリップを本体底部に固定すれば、手持ちで撮影しやすい。手にぶら下げて上下逆に撮ることもできる
付属のガングリップを本体底部に固定すれば、手持ちで撮影しやすい。手にぶら下げて上下逆に撮ることもできる
■変更履歴
メーカー名に誤りがありました。「オリンパスイメージング」ではなく、正しくは「オリンパス」でした。お詫びして訂正いたします。該当箇所は修正済みです。 [2016/06/10 12:55]

 撮影モードはシンプルで、電源を入れれば動画撮影モードに入る。もちろん静止画の撮影もできるが、有効画素数は720万画素とデジカメとしては少なめ。オートでの撮影が前提ということもあり、あくまで動画が主役といえそう。ただ、撮影せずに位置情報などのログだけを残せるモードも備えるのは、TG-Trackerならではだ。

 新しさが際立つ半面、“弱点”も見受けられた。例えば、液晶画面がタッチ操作に対応していないことや、液晶画面が回転しない点などだ。軽さや耐衝撃性能とのトレードオフとはいえ、これらが備われば使いやすくなり、魅力がさらに向上すると感じた。

 「ログを残す」というTG-Trackerのコンセプトはニッチではあるが、一部のアウトドア愛好者に熱烈に支持される可能性もありそうだ。

撮影時には小型の液晶画面を開く。タッチ操作には非対応
撮影時には小型の液晶画面を開く。タッチ操作には非対応
記録メディアにはマイクロSDカードを採用
記録メディアにはマイクロSDカードを採用
動画撮影用のライトを内蔵
動画撮影用のライトを内蔵
天面に操作ボタンやGPSアンテナなどが並ぶ
天面に操作ボタンやGPSアンテナなどが並ぶ
単体で水深30mの防水性能がある。水中撮影時には専用レンズプロテクターを使う
単体で水深30mの防水性能がある。水中撮影時には専用レンズプロテクターを使う
スマホやタブレットに動画を転送すれば、地図や高度の表示と2画面で再生できるのは新しい
スマホやタブレットに動画を転送すれば、地図や高度の表示と2画面で再生できるのは新しい

(文/日経トレンディ編集部)

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