「バンダイナムコID」を中核に顧客と直接つながるネットサービスを拡充

――この先のソーシャルゲームはどうなりそうでしょうか。

鵜之澤氏:3年後には、ゲーム性も変わり、市場もがらりと変わっているでしょうが、一過性のものではないと感じています。ビジネスモデルは恐らくFree-to-Play(基本無料)型でしょう。

 我々バンダイナムコグループのキャラクタービジネスも、(テレビ放送などで)タダで映像を見てもらってファンになってもらい、最後に実体としてのモノを買ってもらうというモデル。その実体ビジネスは一朝一夕に作れるものではないと思っています。それを持っていることが僕らの強みです。

 最近ではネットを通じて、世界中でタダで映像を見られる人が増え、結果、世界中にファンが生まれています。そこに対するビジネスがまだ追いついていない部分がありますが、そこをキャッチアップしていけば、大きな成長の可能性があると感じています。

 特にアジアには可能性を感じます。日本のコンテンツは、ほとんどそのままアジアに受け入れられると思っていますよ。

――『機動戦士ガンダムAGE』は中国でもファンが多くいるそうですね。

「グループ全体のコンテンツを横串で刺して、どう全体最適化できるかがネット戦略の肝」と話す鵜之澤氏

鵜之澤氏:「GUNDAM.INFO」というウェブサイトを通じてアジア全域に正規にサービスを提供したことは画期的だったと思っています。

 家庭用ゲームも映像も、パッケージ文化で20年~30年が経ちましたが、このモデルが、いまや崩れつつあります。米国では、CDショップが消え、レンタルビデオ店が消え、書店も消えた。「おいおいヤバいぞ、次はゲームショップじゃないのか」と思いますよね。実際、パッケージでやっていたことがデジタル配信に変容していこうとしています。

 海外のゲーム会社も、「パッケージ」と「デジタル」という言い方で、デジタル配信の比率がいかに上がったかということをアピールするようになってきた。

 でも、こんなに変化していても産業が消えるかというとそうじゃない。形が変わって、デジタルの流れにうまく乗れるかだけです。

――そのあたりが鵜之澤さんの管轄部門である「ネット構想プロジェクト」で考えられていることでしょうか。

鵜之澤氏:次の戦略としてのネットサービスについて、グループ全体のコンテンツを横串で刺して、どう全体最適化できるかを考えていきます。キャラクタービジネスはメディアからしか発生しません。そして、そのメディア自体がネットに変わろうとしているのに対応しなければならない。

 その基礎となるのが、IDの統一です。グループ内でバラバラに存在していた会員IDを、1つの「バンダイナムコID」に統合していきます。

 従来のパッケージ販売では、どこの誰に買ってもらったかはつかみにくい。同様に、ソーシャルゲームも、自社のプラットフォームではないので、会員情報 の詳細までは分かりません。

 それをIDで統一することで、ユーザーからのリアクションを直接得る手段を持ちたいのです。ユーザーにとっても、仮にゲームを買っても、プラモデルを買ってもポイントが付くようなサービスがあれば望まれると思っています。

 このID会員を2014年までに3000万人くらいの規模にしたい。現状では、200万人弱ですが、別々に存在する会員組織を移行・統合するだけでも500万人くらいにはなります。あとはキャンペーンなどで増やしていくつもりです。

 そうすれば、そこがメディアとしての数の力を持つことになります。そこからどうマネタイズするかは、その後で考えればいい。そして、そこで得た利益を、映像やゲームなど、次の投資に回していきたいと考えています。

『機動戦士ガンダムAGE』(MBS・TBS系列で毎週日曜17時~放送中)
中国、韓国のほか、東南アジアとオセアニアにも、日本でのオンエアとほぼ同じタイミングで字幕付きでネット配信されている (C)創通・サンライズ・MBS
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