PCでなく携帯電話だから普及した日本のソーシャルゲーム

――DeNAやグリーから学んだことって何でしょう。

「まさか、自分たちがゲームを無料で提供するとは考えもしなかった」と話す鵜之澤氏

鵜之澤氏:彼らはIT業界の人たち。ウェブのビジネスやマーケティングの手法を使う人たちです。アミューズメント施設から始まった僕らの業界とはまったく違いますよね。ある意味、ゲーム業界にとっては革命でした。まさか、自分たちがゲームを無料で提供するとは考えもしなかった。

 でも、その手法を知らなかったかと言われれば、そうではないんですよね。韓国をはじめとしたアジアで、PCオンラインゲームが月額課金モデルから、基本無料でアイテム課金で稼ぐ形にビジネスモデルが変わるのを見ていたわけです。

 それが、米国に渡って、Facebookのようなソーシャルメディアでのゲームアプリにつながった。それをDeNAやグリーが見つけてソーシャルゲームとして日本で普及させた。なので、ぐるっとアジアからアメリカ経由で回ってきた感じですよね。

――日本ではPCオンラインゲームはコアな層では定着しましたが、ライト層への広がりは出ませんでした。一方でソーシャルゲームがここまで広がったのは、携帯電話をプラットフォームにした影響が大きいでしょうか。

鵜之澤氏:フィーチャーフォンの時代でも、iモードのようなビジネスが普及したのは日本だけだと思います。例えば音楽配信でも、アメリカではPC向けのiTunesが一気に「アメリカで一番大きいCDショップ」になりましたが、日本では一桁も二桁も小さい市場に留まっています。かたや、携帯電話向けの「着うたフル」は数百億円の市場規模になるという、まさにガラパゴス。

 課金方法も、日本では携帯電話料金と一緒に請求できる仕組みをいち早く持って定着しました。そのことが現在のソーシャルゲームで、日本でのARPU(1ユーザーあたりの売上高)を押し上げていることにつながっていると思います。

 これがアジアにどのように影響していくのか興味深いですね。

――国内のソーシャルゲームのユーザー数も、そろそろ飽和状態と指摘する声もあります。MobageやGREE以外のプラットフォーム、例えばFacebookへの展開は考えていますか。

鵜之澤氏:今後の課題ですが、PCの世界は、今まで日本で大きなビジネスになったことがないので、海外と同様の成功は難しいだろうと思います。これまでもPCブラウザゲームをいくつかやってきましたが、そこから上がる利益は多くはありません。国内でPCベースのサービスが百億円規模に成長するにはもう少し時間がかかると考えています。