――今後も駅舎や車両デザインを手がける際には、贅沢なもの、職人が手間ひまをかけたものを取り入れていくのか。

水戸岡: これからも少しずつ贅沢に、今までやれなかったことを1つ、2つ、3つと足していきたい。特に今、実現させたいと思っているのが九州一周の鉄道の旅、クルーズトレインだ。個室やレストラン、サロンがあり、九州を2泊3日や3泊4日で周る寝台車を造りたい。欧州の豪華列車「オリエント・エクスプレス」の伝統を継ぐ寝台車を、日本で実現させたいのだ。

 ステンドグラスやオリジナルの家具、絵画、映像、音楽など、今の時代の最高の技術や感性をどこまで寝台車に持ち込めるか。車両には日本の伝統工芸以外にもアジアや世界の素材も入れたい。車両そのものは、欧州の考えで造られたものだから、それに日本の考え方や伝統、技術をどれだけ盛り込めるか。食事やお茶はどう出すのか、どんな音楽を流すのか。できることは数多くあると思う。夜は駅に止め、ホームに“夜鳴きそば”などの屋台が待機している、というのも面白いではないか。

 現在は2つの案を用意しており、1つは超豪華列車で、もう1つが一般客のための寝台車。一般客向けの寝台車では、乗客同士が夜を徹して会話する。私の若いころはそんな文化も残っていたが、今や夜を徹して語り合うこともできなくなっている。ならば、鉄道の旅を楽しみながら、友達や仲間、家族でじっくり語り合うのも良いだろう。

 寝台車を実現させて、鉄道の旅をより豊かに、楽しく、そして鉄道文化をもっと理解してもらいたいと思っている。

水戸岡氏がJR九州に提案する寝台列車のイメージ画(画像クリックで拡大)

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 日経トレンディ10月号では水戸岡氏が手がけた車両以外にも、全線開通する東北新幹線や新型スカイライナー、次世代型路面電車など、鉄道の最新トピックを幅広く紹介している。

(聞き手/日野 なおみ=日経トレンディ)

「日経トレンディ」10月号では、
「変貌する新幹線&特急」
「主役はこれだ!次世代AV」
 
がご覧になれます!

日経トレンディ

日経トレンディ 10月号

発売中
定価:550円(税込み)
発 行:日経BP社

日経BP書店で買う AMAZONで買う