前期はゲームをはじめ、映像、音楽といった玩具以外の事業の落ち込みが目立ったバンダイナムコグループ。この状況から脱却し、コンテンツ分野の事業を復活させるために、バンダイナムコゲームスの鵜之澤伸副社長は背水の陣で勝負に臨む。勝負の鍵の1つとなるのがバンダイが得意としてきた無料放送でのキャラクター・マーチャンダイジング・ビジネスのノウハウだ。その戦略を鵜之澤氏に聞いた。

(聞き手:中村均)

「ゲームを軸に映像・音楽分野を再生するために、新事業の立ち上げを“死ぬ気でやる”」と語るバンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸氏(画像クリックで拡大)

――2009年度、そして2010年度の立ち上がりを見ていかがですか。

鵜之澤氏:今期は動き出したばかりなのでこれからなんですけど、昨年度は発表した業績を見ての通りで厳しい結果でした。

 売り上げの減少が営業利益などにそのまま響いた状況です。分析すると、海外市場では、実力よりも少し背伸びしたことが響き、国内では、それまで堅調だったニンテンドーDS向けの中型、小型タイトルが伸び悩んだ結果、ずるずると落ち込んでしまった感じですね。

――海外での状況をもう少し詳しく教えてください。

鵜之澤氏:前期に発売する予定だったタイトルが今期にずれたことが痛かったですね。この部分を好調な『鉄拳6』の数字でカバーしようと考えていましたが、残念ながらそこまでには至りませんでした。

 一方、欧州も2009年後半から市場全体がかなり冷え込んできて、店頭価格が下落した結果、マークダウン(値下げによる見切り販売)による、流通への補填金(注:プライスプロテクションと呼ばれる値下げ分をメーカーが補填する制度によるもの)も発生してしまった。この予想以上の欧州の落ち込みも、通期ではかなり効いてしまった感じですね。

欧米で人気が高く堅調なセールスだった『鉄拳6』
(C)1994-2009 NBGI
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――例年ですと、『ファミリースキー』といった海外で予想外のヒットがありましたが。

鵜之澤氏:そう。毎年、そういうのがありましたよね。でも今回は全然出てきてない。

 『鉄拳6』が、予定より少しいい数字で出荷できましたけど、マークダウンが速いペースで進んだので、セルスルー(実売)で見ると、利益ベースでは計画通り。

 逆に、カジュアル層をつかんだ『ファミリートレーナー』などのヒット作の続編が厳しい状況になってしまいました。

 コアゲーマーに続編を買ってもらうのと同じように、カジュアルゲーマーに向けた「WiiやDSで続編」というタイトルでも、それが可能なんじゃないかと考えていましたけど、これは幻想だったわけです。

 一般に、ヒットした作品の続編というのは、営業的には数字を読みやすいし、おおむね堅い動きをするというのが過去の経験上ありました。でも、カジュアルの世界はそこが違った。

――これは国内でも傾向は一緒ですか。

鵜之澤氏:それは似ていますね。やっぱりコアなゲームファンと、カジュアルのユーザーの動きが違うのは万国共通です。

 じゃあ、コアゲーマー向けの市場が絶好調かというとそうでもないわけです。かつてのコアゲーマーに頼ったビジネスは先細りになるのは明らかです。なぜなら、彼らの人口は96年あたりがピークで、それからは右肩下がり。しかも、目は肥えていくし、プレイするタイトルもセグメントされていく――。彼らの中にも集中と選択ははっきりありますから。

 そこに代わるファン層の塊として、任天堂が連れてきた新しいカジュアルユーザーが市場を元気にしてくれたわけです。けれども、任天堂がユーザーの求めるものをコンスタントに出せているのに対して、我々はそれができなかった。

――任天堂タイトルが強すぎたのでしょうか。

鵜之澤氏:よく、“ファーストパーティーである任天堂が1人勝ち”みたいなことが言われますけど、昨年に関しては、任天堂タイトルが強烈でほかをすべて蹴散らしたという感じではないじゃないですか。

 だから、反省すべきは我々のタイトルだったんだと思いますよ。僕らのものに魅力がなかったということを素直に反省しなくてはならない。新しい面白さを提供できていなかったんだとね。