一方、“神の子”マラドーナが率いるアルゼンチンは、メッシやテベスといった才能ある攻撃陣を擁していながら、チームとしてのまとまりを欠いて南米予選では大苦戦。高地で行われたボリビアとの試合は1-6の歴史的大敗を喫し、宿敵ブラジルにも1-3で完敗。国内メディアから「彼には戦術も規律もない」と批判され、1986年メキシコ大会で“神の手(ハンドの反則)”ゴールや5人抜きドリブルで母国に栄誉をもたらした英雄も命運が尽きたかに思われた。しかし、最終節にウルグアイを破り、ヨレヨレながらW杯出場を決めたのである。

「神の手」ゴールとして歴史に刻まれる名シーン。マラドーナはアルゼンチンの監督として多才な選手たちを率いる(写真提供:ゲッティ イメージズ
1986 World Cup Quarter Final, Azteca Stadium, Mexico, 22nd June, 1986, Argentina 2 v England 1, Argentina's Diego Maradona scores his side's first goal past English goalkeeper Peter Shilton by use of his hand, Maradona later claimed that the goal was scored by 'The Hand Of God,' (Photo by Bob Thomas/Getty Images)

 タレント揃いのチームだけに、マラドーナの下で各自が個性を生かしたプレーができれば優勝も狙える実力を持つ。予選で苦戦をしたときのアルゼンチンは本大会で強いというジンクスもあり、監督として初めてW杯に臨むマラドーナが何をしでかすかはわからない。

 ベッカム(イングランド)、ロナウジーニョ(ブラジル)、トッティ(イタリア)、ファンニステルロイ(オランダ)といったベテランスター選手の代表落選が相次ぎ、世代交代を印象づけた今大会だが、強豪国には“才色兼備”の若手スター選手が揃っている。

 現在、世界最高の選手と評価されているのが“マラドーナ2世”の呼び声も高いメッシ(アルゼンチン)だ。少年のような童顔と小柄ながら破壊力のあるドリブル、一瞬の隙を突いて放つシュートは魅力だ。しかし、所属するFCバルセロナ(スペイン)での活躍ほど代表チームでは輝きを放っていない。代表でも自らの才能を解き放つことができれば、南ア大会は「メッシの大会」として人々に記憶されることだろう。

マラドーナ2世とも称されるアルゼンチンのメッシ。小柄ながらドリブルでの突破力は天下一品(写真提供:ゲッティ イメージズ
MADRID, SPAIN - NOVEMBER 14: Lionel Messi of Argentina in action during the friendly International football match Spain against Argentina at the Vicente Calderon stadium in Madrid, on November 14, 2009 in Madrid, Spain. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)