――スマートフォンの分野では、NTTドコモからXperiaが発売されて人気がありますが、こうしたハードはどうでしょう。

辻本氏:そこも考え方は同じです。ハードの機能に左右される時代は終わったと思います。むしろ、そのハード――すなわちユーザーにコンテンツを届けるビジネスモデルが、消費者の方々や、我々パブリッシャーに受け入れられるかどうかが重要です。

 ユーザーが求めているのは使いやすさです。高性能でも使い勝手が悪ければ、結局使わなくなってしまいます。そうなれば、当然コンテンツも売れません。

 これはスマートフォン以前のモバイルゲームが始まったときと同じです。NTTドコモの「iモード」が大成功を収めたのは、課金モデルを含めたビジネスモデルが確立されていたからです。その結果、豊富なコンテンツの供給が良いサイクルを生み出し、ほかのキャリアに差をつけることができたのでしょう。

――任天堂の新ハード「ニンテンドー3DS(仮)」も同様ですか。

辻本氏:そうですね。3D(3次元)表現という技術も1つの要素でしかないと思います。

 もちろん、開発スタッフとしては、これまで不可能であったことが実現可能となり、高い興味と関心を示していることと思いますが、それよりもユーザー自身が3Dのコンテンツをどれだけ欲しているかということの方が重要です。

 むしろ我々が期待したいのは新たなビジネスモデルの提案です。任天堂は長年ハードビジネスを行ってきたので、ここ最近のアップルの隆盛について、様々な分析をしていると思います。こうした点からも我々サードパーティーとしては、E3でニンテンドー3DSの発表に注目しています。

――マイクロソフトの「Windows Mobile7」では「Xbox Live」と初めて連携しますが、こちらはどうでしょう?

辻本氏:マイクロソフトもアップルの成功を見ているわけですから、脅威に感じると同時に、彼らのビジネスモデルについて分析をしているはずです。そうした中で、マイクロソフトのWindows Mobile7とXbox Liveの連携で大きなアドバンテージとなるのが、ワールドワイドで、Xbox Liveの課金モデルがすでに構築されている点です。

 今後、その課金モデルを生かした形で、Windows Mobile7搭載のスマートフォンのサービスを展開していくのであれば成功の可能性は高いと思います。ユーザーは、Xbox 360のアカウントを持っていれば、それをスマートフォンで楽しめるわけですから、利便性が高いのは明らかです。

 今後のゲーム産業のビジネスモデルにおいて、ダウンロードコンテンツがキーとなることから考えると、プラットフォーム上で重要なのは決済機能です。ユーザーの立場からすれば、新しいコンテンツを買うたびに、新しい課金システムを導入するというのは面倒ですよね。アップルの成功も、iTunesのアカウントをApp Storeでも利用できることが1つのポイントになっていると思います。

――オンラインのビジネスではPC向けの『モンスターハンター フロンティア オンライン』が、今度はXbox 360向けに発売されます。これも課金システムの観点からすると、いずれは欧米などワールドワイドで展開する予定なのですか。

辻本氏:Xbox 360というハードは欧米では非常に普及していますから、ワールドワイド展開における問題や課題がクリアになれば、展開は可能になります。ただ、開発チームが日本にいるので、まずは日本でXbox 360に対応して、先行してサービスしてきたPCとのユーザー動向の違い、インフラの問題、サービス面などを、しっかりと検証する必要があると考えています。

PCオンライン向けに加えXbox 360向けに発売される『モンスターハンター フロンティア オンライン』
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――PCオンラインは韓国オンライン大手のNeowizと提携して『ロックマンオンライン』を展開しますね。

辻本氏:先方から『ロックマン』でオンラインゲームを作りたいという要望があり、企画提案を検討した結果、面白いものが作れそうだという結論に至りました。

 まずは、韓国からスタートして、いずれは台湾や中国での展開も考えていかなければなりません。また、『ロックマン』は日本にもファンが大勢いますので、日本のユーザーに受け入れられるような形に仕上がるのであれば、現時点では未定ですが、国内での展開の可能性もあるでしょう。