パリを拠点とするパティシエである青木定治さんが、10月から放送が始まるアニメ番組を監修する。7月4日にJAPAN EXPOに出展したJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)のブースで制作発表した。

  「夢色パティシエール」はアニメ制作のぴえろが制作する。14歳の少女がパティシエを目指しフランスのパリに渡り、スイーツ作りを通して成長するストーリーだ。集英社の少女漫画誌「りぼん」で連載されている松本夏実の作品。アニメでは「パティシエとは何か?」をフランスで経験を積んだ青木氏の生きざまに重ねて描く。「フランスでの放映も視野に入れている」(ぴえろ)という。

 青木氏はフランスに3店舗、日本に3店舗を構える。パリで活躍する日本人としてマンガやアニメなどの人気をどうとらえているのか。JAPAN EXPOの会場で聞いた。

――日本のアニメやマンガなどが人気だが。

青木定治(あおき・さだはる)
パリ在住 パリを拠点に活躍するオーナーパティシエ。1968年生まれ。
2001年パリに1号店開き、現在3店舗のブティックを持つ。05年には東京丸の内に日本初の店舗を開設、日本でも計3店舗を持つ

青木定治氏(以下、青木): 「オリジナルは受け入れられる要素がある。日本のマンガは、顔の書き込み一つとってもこだわりがあり、センスがよい。ヨーロッパで日本車が受け入れられにくいのは、車は元々欧州や米国を原点にするものだからだと感じる。オリジナルを好むのはお菓子作りも同じ。すぐに『最初に始めたのは誰だ』という話になる」

 「オリジナリティーを尊重する土壌は、教育からもみてとれる。例えば幼稚園では『この子は色を見るセンスがすごいので、小学校に行っても手をかけてあげてください』と言われる。親の方が洗脳される感じさえする。小学校でも学校から帰れば、みんなばらばら。乗馬やバレー、バイオリンなど、それぞれが個性を伸ばしている。様々なことを子供たちに教える仕組みが安く整っている」

――アニメ「夢色パティシエール」には、具体的にはどうかかわっていくのか。

青木: 「ケーキ作りの技術的なことなどをチェックする。材料を混ぜるときの手の動きや素材を入れる順番などだ。一方でサイン会などの機会を利用して、自分が経験してきたパティシエの世界の厳しさも伝えられたらと思っている。お菓子作りを学ぶ専門学校の学生は7割ほどが女性だ。ただ卒業して就職しても3年ほどしか続かないことが多いのも現実。他の業界と比べると、人を育てる教育システムが、整っていない。店を出すとなれば、経営など様々なことも学ばなければならない。パティシエになるにはケーキを作る前の準備も不可欠だ」

――アニメには青木さんのパティシエに対する考えも反映させるとか。

青木: 「右も左もわからず約20年前にパリに来た時は、給料はいりません、といって働かせてもらった。今はめぐまれていると思うが、こうした苦労がなかったら今の自分はなかったと思っている。ヨーロッパで何かをなしとげるには足かけ10年はかかる。自分もまだ到達感を得られていない。何かをするときに自分にそれがあっているかを知るには時間がかかるもの。だからこそ、人の真似ごとから始めたら長くは続かない。人に負けないものを作ってほしい。『ケーキ屋さんになりたい』と夢を抱く子供たちにも、そんなメッセージを伝えられたらと思う」

制作発表はコ・フェスタブースで開かれ、青木氏のデモンストレーションを多数の人でにぎわった。イベント終了後はマカロンを手渡し(画像クリックで拡大)