「ディラン=ロック」の理由とは?

―「ディランがロックだ」について、その理由をもっと話していただけませんか?

みうら 『ローリング・サンダー・レビュー』っていうライブツアーの音源がありますが、曲の出だしなんかは、ディランが適当に弾いて始まったりする、とても“パンキッシュ”な演奏なんです。ああいうことをやった人は多分、今までいないと思う。

『ザ・ローリング・サンダー・レヴュー』。1975年の伝説のライブツアーを記録したライブ盤で、「ブートレッグ・シリーズ第5集」として2002年に発売された。(画像クリックで拡大)

 それに、革ジャン着たり、バイク乗ったり、水玉の女モノの服着たり、そういう今のみんなが「ロック」だと思っているもののイメージはボブ・ディランが付けたもの。ステッペンウルフの「ワイルドで行こう」って曲(映画『イージー・ライダー』のテーマ曲)があったから「バイク=ロック」みたいなイメージが付いてるけど、ディランがトライアンフ(Triumph)っていうバイクに乗ったことのほうが早かった。また、「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」では歌詞の書かれた紙を1枚1枚めくっていく映像があるんですが、それって世界初のプロモーションビデオだった。ブートレッグという「海賊版」が出るのも、ディランがウッドストックにこもって6年くらい公に出なかったときに起こったことで、みんながブートブートって言ってる現象も全部ディランから始まったことだったんです。だから本当はすごくロックな人で、そこを“フォーク”ってことに日本ではしたかったのかもしれない。

―4枚目、5枚目くらいまでの話が出ましたけど、やっぱり一番好きな曲やアルバムっていうのは4枚目ですか?

みうら うん。『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』がやっぱり一番好きかもしれない。B面がアコースティックだったけど、すごいロックっぽいんですよね。だからもう「ギターじゃない」ってことがやっと分かったんです。そのころの日本の状況ってエレキギターで演奏する音楽のことが「ロック」で、アコースティックギターを使った音楽は「フォーク」って呼んでただけで、そこは間違ってたんですよね。今はもうそういうことは言わなくなったけど、ちょっと前までは昔で言うフォークギターって呼ばれてるのを弾いてる人はフォークシンガーで、エレキを持ってる人がロックだっていうことだった。けど、そんなことどうでもいいことで、ロックには関係なかったっていう気はするんですけどね。

―それがみうらさんのよくおっしゃってる「ディランはロックだ」っていうことなんですね。

みうら やっぱり「ローリングストーン」誌が選んだ過去何十年のロック名曲のNo1が『ライク・ア・ローリングストーン』だったってことがすごい証明してると思いますけどね。ストーンズでもビートルズでもなかったしね。それはアメリカ人やイギリス人は前から知ってたことで、日本だけは鎖国してたような気がするんですけどね。

米「Rolling Stone」誌は、これまでで最も偉大なロックの500曲を選んでそれについてのコメントを記した本を出版している。その1位がディランの「ライク・ア・ローリングストーン」だった。ちなみに2位はローリング・ストーンズの「サティスファクション」、3位はジョン・レノンの「イマジン」。Rolling Stoneのサイト(http://www.rollingstone.com/news/coverstory/500songs/)には500曲すべてのリストと、その解説が読める。(画像クリックで拡大)