みうら氏の『アイデン&ティティ』(角川文庫)。のちに田口トモロヲ監督、峯田和伸、麻生久美子、中村獅童の出演で映画化される(画像クリックで拡大)

―確かにこれは、マニアは欲しがりますね。

みうら 欲しいと思いますよきっと。これも実は3種類くらいあります。海外のマニアは「プヒ~」って書いてある意味も分からず、何の意味か分からないポスターを作ってしまったことで、その2枚組のCDのやつもそうだったし、後に『アイデン&ティティ』っていうのが映画になったあとに、ソニーから正規で僕の漫画に出てるディランの曲順でのサントラ盤っていうのを出したんですよ。それはボブ・ディランさん側にも承諾していただいて、あれ日本版のみなんですけども、でもそうなると世界のマニアの人も欲しいわけで、全部英語排除して、英語が一個も載ってないジャケットにして、よく駅前で売ってる廉価版みたいな状態で作ろうと思って作ったんです。随分色んなことしたんですよ。

―いやー、ほんと色々なもの作られているんですね。

みうら 映画『アイム・ノット・ゼア』のラスト曲が「ライク・ア・ローリングストーン」でしたね。でも田口トモロヲが撮った『アイデン&ティティ』っていう映画のエンディングも「ライク・ア・ローリングストーン」だったんで、これは完全にうちらの方が早いので、完全にパクリだということだと思います、はい(笑)。実は「ライク・ア・ローリングストーン」の本人の声のバージョンは、これまでどの映画にも使われてなかったんですよ。『アイデン&ティティ』でエンディングをこの曲で飾ってますが、それが世界初。よく本人が許可してくれたなと思ったんですけどね。

―それはどのように許可を?

みうら 最初、台本を全部ディラン本人に読んでもらって、許可してもらったんです。ディランサイドからは、(映画には)どの曲使ってもいいって言われたんで。でも承諾を得るまでに4年くらいかかってますからね。

―曲を使うまでにってことですか?

みうら 『アイデン&ティティ』には、ボブ・ディランに似たような人が出てくるんですが、まずそのことから承諾得るのに何回もやりとりがあったんです。この映画、本当はすごく画期的なことだったんですけども、日本では誰も騒がず…。後の『ボブ・ディランの頭の中』っていうタイトルの映画も、まったく日本で当たらずだったけど、実はオープニングは真心ブラザーズの「マイ・バック・ページズ」が飾ってたことをほとんどの日本人(メディア)は取り上げなかったのにね。こんなふうに、ディランに関しては、今までにすごいことは色々あったんですけどねぇ~。