―中に何を入れるか、チーズを入れるかで味が変わってくるみたいな。

みうら 吉田拓郎さんも実はそうだったような気がして。昔インタビューしたときに、ジーパンが嫌いでしょうがなかったって言ってたんです。彼はVANのアイビーが好きで、楽屋でジーパンの汚ねえのに着替えて出てたって言うんですよ。俺はそれを真似してはいてたのに…。俺の青春はどうしてくれるんだって思ったけど、意外とそうかもしれないね。だからそういう、人にすごく影響受ける人って、許容量があるからいくらでも入るようにスポンジみたいになってるのかもしれないなぁって。ちくわの中にいろんなものものを入れるみたいに…。中にチーズが入ったり、きゅうりが入ったりしててね。外側は全然変わってないんだけど、そこがまた「ぐっ」と来る。そして追いかけたくなるのかもしれない。

―すごいですね。「ディラン=ちくわ」説!

みうら それは悪い意味じゃなくて、そういう人が人を引きつける魅力かもしれない。意固地な人とか、妙に自信ある人って好きになれないもん。人を好きになるってそこじゃないから。ものすごい影響を受けて、そこでまた違う出口を見つけたり、いろんなものが合わさってて。『ボブ・ディランの頭のなか』ってタイトルもそうだけど、いろいろこんがらかってる感じがして、そこが面白いんだなと思うけどね。

氏が制作した「みうらじゅんマガジン」(画像クリックで拡大)

中には、ディランの年齢が書き込まれたディスコグラフィが付いている(画像クリックで拡大)

―最後に、ディランをあんまり知らない人に対して、ディランを知るためにまず何をすればいいんでしょう?

みうら 何年か前にソニーミュージックと組んでポスターを作ったんです。アルバムを、作られた当時のディランの年齢順に並べたポスター。そもそも人のことなんてそんなに分からないけども、ディランを理解する糸口としては同い年のボブ・ディランのレコードを聴けば分かるような気がして、そんなポスター作ってキャンペーンをしてたんです。おすすめは、自分と同じ年齢のディランが作ったアルバムを聴いてみるのはどうかなと。例えば、33歳だったらディランが33歳の時に作った『血の轍』を聴けばいいと思うんですよ。今24歳だったら『追憶のハイウェイ61』や『ブロンド・オン・ブロンド』聴いて。18歳の人が64歳のボブ・ディランのことが分かるわけないと思うんだ、やっぱり。僕がファーストアルバムから聴いたのも、自分の歳に近いものから聴いていこうと思ったのかもしれない。同い年だったら、まだ糸口がつかめるんじゃないかとは思います。

―長い時間、ありがとうございました。

(取材・文/寺西 芝、協力/井口妃沙子)