ケータイから生まれた文化といえば、最近ブレークした「ケータイ小説」を思い起こす人が多いことだろう。ケータイ小説の内容に関しては賛否両論の声があるとはいえ、ケータイ独自の文化が一般層に広く知られるようになったという意味では、非常に大きな出来事であったといえる。

 だがケータイ小説とて、ケータイ・コミュニティが生み出す文化の一角に過ぎない。2章でも説明した通り、ケータイ・コミュニティには自己表現に対する欲求が強い若者が多く集まっている。若者の積極的な自己表現によって、ケータイ・コミュニティの中ではパソコンとも全く異なる、独自の文化が生み出されているのだ。

「ケータイ小説」は小説以外への広がりを見せる

 先に書いた通り、今やケータイ文化の代表となっているのが、「恋空」などのケータイ小説である。ケータイ小説については特集「女子高生のブームから社会現象へ ケータイ小説&ケータイコミックの「現在」」にて詳しく説明がなされているので、そちらを参照頂くとして、ここではケータイ・コミュニティにおけるケータイ小説の現状について説明しよう。

 ケータイ小説は、ホームページ作成サービスやSNSなどに用意されている「ブック機能」を使って執筆されていることが多い。この機能は元々小説を書きたいという要望に応えて作られたものだが、最近ではその利用方法も変化してきている。別段「小説を書くために使わなければならない」というものではないので、2章で紹介したフィルタリングに関するレポートに代表されるように、 小説以外の目的で利用されるケースも増えてきているのだ。

 また、ブック機能の内容はサイトによって違いがあるので、搭載されている機能によって使われ方にも違いが見られるようだ。例えばGoccoでは、ページ毎に写真を掲載することができるため、写真好きの人やコスプレイヤーなどが「写真集」として活用するケースも見られるという。

 ちなみにケータイ小説自体の傾向にも、変化が見られるようになってきている。「恋空」に代表される恋愛ものが相変わらず強いのは確かだが、書き手の年齢層が広がり、また男性の執筆者も増えてきたこともあって、ホラーやミステリー、ファンタジーもの、さらには二次創作なども見られるようになっている。

ケータイ小説を書くのに用いられる、魔法のiらんどの「ブック機能」。文章を章立てにまとめるというシンプルなものなので、小説以外の用途にも利用されてきている(画像クリックで拡大)