伝説の番組「空飛ぶモンティ・パイソン」も今なら吹替盤DVDで堪能できる

 そして76年、伝説の番組『空飛ぶモンティ・パイソン』が登場する。『ダンディ2』はそれでもまだストーリーのあるドラマだったから、広川ギャグも、ぶっ飛んでいるとはいえ最終的には着地点へ戻ってくる安心感があった。しかし、ブラックな笑いに満ちたこのショート・スケッチ集では、さらにもう一段の飛躍を見せ、ほとんど不条理ともいえるナンセンスなセリフに進化している。納谷悟朗、山田康雄、青野武、飯塚昭三、古川登志夫という他の声優陣も豪華で、その全盛期の声の演技が保存されているという点だけでもマストバイのソフトだ。

 そもそも、こと「お笑い」に関しては、成功している吹替版というのは、昔から今に至るもそう多くない。シチュエーションや挿入されるラフ(笑い声)にもうながされて我々はなんとなく笑っているけれども、では声優の演技や翻訳台本が日本語のギャグとして笑えるレベルに達しているかというと、実は空回りしているものがほとんどだ。

 そんな状況で『モンティ・パイソン』は奇跡的に成功した吹替コメディ番組だった。原典はむこうの時事ネタ・古典ネタや有名人のパロディなど元ネタのあるギャグが多く、直訳ではわかりづらい。そこで翻訳者も声優も元ネタを踏まえた翻案のギャグをいくつも考え、それぞれが台本に書き加えて、ケツさえ合えばいいだろうという感じでやっていたそうだ。

 ここが実は大事なところで、まるでイチから作り変えてメチャクチャやっていたわけではないのである。エリック・アイドル自身も実は言葉遊びの得意な人で、その広川流解釈が、あの特異なセリフとして結実したというわけだ。広川さんのエリック・アイドルは映画版の『モンティ・パイソン・アンド・ホーリーグレイル』や、まもなく発売の『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』のDVDでも堪能できる。

モンティ・パイソン・アンド・ホーリーグレイル デラックス・コレクターズ・エディション』。キャスト:エリック・アイドル(広川太一郎)、グレアム・チャップマン(山田康雄)、ジョン・クリーズ(納谷吾郎)ほか。4179円。発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(画像クリックで拡大)

モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン 完全版』。キャスト:エリック・アイドル(広川太一郎)、テリー・ジョーンズ(飯塚昭三)、マイケル・ペイリン(青野武)、テリー・ギリアム(古川登志夫)ほか。4179円、5月21日発売。発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(画像クリックで拡大)

※文中でリンクがある作品はDVDに広川太一郎氏の吹替音声が収録されているものです。