なぜ電力線で通信ができるのか?

 第1回で述べたように、「PLC」とは家庭内の電気配線(電力線)を通信回線として使い、データを送受信する技術のこと。「Power Line Communication」の略で「高速電力線通信」とも呼ばれる。

 この時、データの信号を電力線に流すために、電力よりもずっと高い周波数の信号(4MHz~30MHz)に変調(変換)して送信する。この作業を行う装置が「PLCアダプター」だ。PLCアダプターは、データの送り側と受け側となる親機と子機のセットで使う。PLCアダプターには電源コネクターとLANケーブルを取り付ける端子があり、電源コネクターはコンセントに接続する。LANコネクターは親機ならブロードバンドルーターに、子機ならパソコンやテレビ、DVDレコーダーなどに、一般のLANケーブルを使って接続する。なお、スイッチで切り替えることで親機としても子機としても使える製品がほとんどだ。

 電力線+PLCアダプターが、LANケーブルの代わりになっていると考えるとイメージしやすい。そのため、部屋と部屋との間をつなぐような長いLANケーブルが不要になるのが最大のメリットだ。見た目がすっきりするだけでなく、子供やペットがケーブルを引っ掛ける危険も減るし、LANケーブルを通すために穴を開けるような工事も必要ない。また、無線LANは鉄筋コンクリート製の壁など電波を遮る障害物越しの通信が苦手だが、PLCは電力線が繋がっていてコンセントがあれば通信できる。こうした有線のLANや無線LANが苦手とする状況に向いているのがPLCだ。

 子機は最大16台程度まで増設できる。通信速度は通信方式によって若干異なるが、理論上の最高速度で190~200Mbps。ただしこれは理論値であり、実際の最高速度には10~50Mbpsぐらいになる。

 注意したいのは、まずPLCは電波法により屋内のみの利用に限定されていること。PLCアダプターが屋内に置いてあっても、部屋と部屋との間をつなぐ電力線が屋外を通っているような場合はNGとなる。また電力線は電力以外の電気信号を流すことを想定していないため、電波漏えいにより、同じ周波数帯域を使う短波ラジオやアマチュア無線、防災無線、電波を使った天体観測などに影響が出る可能性がある点にも注意しておきたい。医療機器に影響を及ぼす可能性もあるので、医療機器の近くでも利用しないこと。

 このほか、後述するブレーカーや同時に接続する電気機器の問題など、PLCは設定が簡単な反面、利用する上で注意すべき点も多い。無線LANでカバーできる範囲はなるべく無線LANで通信を行い、無線LANが届かない場所で有線LANケーブルを通すのも難しいような場所で、補助的な役割として活用するといいだろう。