2011年7月の地上アナログ放送停波までのカウントダウンが差し迫る2007年は、高画質競争も「動画性能」の追求へ進化し、ネットワーク機能や機器連携などさらなる差別化が進んだ。そんな2007年をAVライターの折原一也氏が総括し、2008年の動きを展望する。


 2007年は、大画面テレビへのシフトが鮮明になった1年となった。JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の調査によると、液晶・プラズマテレビの国内出荷台数は前年比130%以上の伸びを記録している(2007年9月時点)。実際に購入するテレビの中心サイズは、昨年までの32V型から37V~40V型に軸足が移り始めた。大画面テレビの画質性能の面から見ると1920×1080ドットのパネルを採用したフルHDテレビが、製品ラインナップの中核に据えられている。

 大画面テレビ全体としての2007年のトレンドを一つ挙げるなら、「大画面化」と同時に「フルHDパネルの標準化」といっていいだろう。しかし、2007年のトレンドの流れはそれだけではない。フルHDパネルが標準となり、“最も分かりやすいスペック”で競争できなくなったからこそ、各社ともにフルHDパネル搭載の次となる差異化を始めている。

 2007年の動向としては、「薄型化」「動画性能の向上」「録画(連動)機能」「ネットワーク機能」の4つが大きな特徴として挙げられる。それらを基に、2008年の姿を予想してみよう。

「超薄型テレビ」「次世代テレビ」の登場は!?

 2007年の秋は大画面テレビの2つの新機軸が登場したことにも注目が集まっている。一つが従来よりさらに薄い「超薄型テレビの登場」、そして液晶・プラズマの次となる「次世代テレビ」の発売だ。

 液晶テレビに登場した“超薄型”は、日立製作所が他社に先駆けて2007年12月に発売する「Wooo UTシリーズ」に注目したい。今までも薄型と言われてきた液晶テレビの常識を覆す厚さ35mmのスリムなデザインの本体は、薄型であると同時に軽量でもあり、壁掛けスタイルの設置に大きく前進させる設計だ。背面のデザインも洗練されているため、フロアスタンドに設置するテレビとしても、よりオシャレになったといえるだろう。

 “超薄型”の液晶テレビは日立のみならず、シャープ、ビクターも開発を発表している。2008年には各社から超薄型テレビがそろい、設置性と外観を重視した新たなトレンドを形成していくことが予想される。

日立製作所が2007年12月から順次発売する超薄型液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」(画像クリックで拡大) シャープは2007年8月にパネル部分の厚さが最薄部で20mm(最厚部29mm)という超薄型テレビの開発を発表。発売時期について明言はしなかったが、日立「Wooo UTシリーズ」の登場によって開発スケジュールが大幅に早められる可能性も高い。2008年には登場するものと見られる(画像クリックで拡大)
日本ビクターが2008年春から欧州を皮切りに発売予定の42V型液晶テレビ。パネル部分の厚さ20mmを実現している(画像クリックで拡大)

 もう一つの注目の製品は“次世代パネル”だ。ソニーが12月に発売する「XEL-1」は、液晶・プラズマに次ぐ次世代パネルとして注目されている有機ELパネルを搭載する製品だ。パネルは960×540ドットとフルHDの4分の1で、11V型というサイズは本格的なテレビとしてはかなり小型の製品。しかしコントラスト比100万:1以上という色再現性は圧倒的に優れている。

ソニーが2007年12月に発売する有機ELパネル搭載11V型テレビ「XEL-1」(画像クリックで拡大)

 もっとも、今回登場した有機ELやSED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)といった他方式のテレビが2008年にどの程度実用化されるかについては、まだまだ難しい段階にある。一般の消費者が購入できる価格帯ということを考えると、2008年も液晶・プラズマが主流となることは間違いないだろう。

2006年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2006」で展示されたSED社のSEDモニター。キヤノンと東芝による合弁会社としてスタートしたSED社だが、キヤノンの持つSED関連技術に対する米国訴訟の影響から2007年1月に東芝が撤退し、キヤノンの完全子会社として再スタートした。2006年3月には「2007年7月に量産開始」という発表も行われたが、現状の製品化予定は不透明だ(画像クリックで拡大)