東京版では、カウンター割烹などに対応すため「カウンターしかない店」を示すレストラン用のマークが新設された(画像クリックで拡大)

 フランス人が評価する「トウキョウ・フレンチ」はどうだったかというと、3つ星は『ジョエル・ロブション』と『ロオジエ』、そして『カンテサンス』。3軒とも以前から「当確」の呼び声が高かった名店である。しかし、ミスター・ミシュランといっても過言ではない12の星を持つフランス人スターシェフ、アラン・デュカスの『ベージュ アラン・デュカス 東京』は1つ星。同様にフランスの星付きシェフであるピエール・ガニェールの『ピエール・ガニェール・ア・東京』も2つ星に留まった。

 このジャンルでも、ミシュランは「サプライズ」を用意しており、各メディアの事前予測では話題に登らなかった(というより、ほとんど認知すらされていなかった!)『エメ・ヴィベール』、『トゥエンティ ワン』は2つ星と健闘。ベテランどころの日本人シェフの店では『ル・マンジュ・トゥー』が2つ星に輝いた。

 イタリアンの掲載軒数は、その水準の高さのわりに少なく、最高位は2つ星の『リストランテ ASO』。そのほか、掲載された7軒はすべて1つ星で『クチーナ・ヒラタ』、『ラ プリムラ』、『リストランテ・ホンダ』、『アルジェント ASO』など。東京で最も予約を取りにくいとされる『アロマフレスカ』『リストランテ濱崎』『ピアット・スズキ』も1つ星となった。

 日本料理、フレンチ、イタリアン以外のジャンルで2つ星に入ったのは、スペイン料理の『サンパウ』と中国料理の『レイ家菜』の2軒のみ。1つ星には『うかい亭』、『恵比寿』、『けやき坂』など、鉄板焼き専門店が5軒も入り、この辺りに「外国人の嗜好が垣間見られる」との声も。

 また、今回の東京版のミシュランガイドでは「現代風フランス料理」、「現代風イタリアン」、「現代風日本料理」といった定義が登場するが、一体「現代風」とそうでないものとの境界線はどこにあるのか? いまひとつ曖昧でよく分からない。

大御所に冷たいミシュランガイド

 さらに、総じていえることは、日本の料理界を牽引してきた老舗店――例えばフレンチの『コート・ドール』、『ラ・ブランシュ』、イタリアンの『アルポルト』や『アクアパッツァ』といったレストランは、掲載すらされておらず、大御所には「冷たい」ガイドとなっている。しかし、これは「新しい才能の発掘」を第一義とする、ミシュラン調査員の姿勢の現われといえなくもない。

 ともあれ、ニューヨーク版が刊行された際は3つ星店が3軒誕生し、今回の東京版でもその数がベンチマークとされていた。実際は東京で今回生まれた3つ星店の数は倍以上の8軒。フランス・パリに次いで2番目に3つ星レストランが多い都市となったことは、素直に喜ぶべきポイントだろう。

 ガイドの巻末には28軒の都内ホテルの格付けも掲載され、「豪華で最高級」と評価されたのは『ザ・リッツカールトン』、『マンダリン オリエンタル』、『フォーシーズンズホテル椿山荘』、『ザ・ペニンシュラ』、『グランド ハイアット』、『コンラッド』、『フォーシーズンズホテル丸の内』の7軒であった。

 東京版の刊行を果たし、アジアに確かな足がかりをつくったミシュランガイド。来年は京都、あるいは北京、はたまた香港に進出の可能性もある。覆面調査員は今夜、思いもよらない街で、美食の探求に奔走しているのかも知れない。

(文/内田麻紀)

 

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