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国産の厳選素材を活かしたフレンチ
オーナーとシェフ2人で営む気鋭店

 ここ最近、銀座一丁目駅から新富町の界隈にワインバーやビストロが急増。にわかに活気づいている。そのうちの1軒、今年3月にオープンした話題店がビストロ・マルカッサン。オーナー川浪早絵子さんが、シェフ秋山直宏さんと2人で営む、小さなビストロだ。限られたスペースを有効活用したモダンな空間は、カフェの趣。女性オーナーならではのセンスを感じる。

 しかしメニューを開けば、鹿、鱒など実にインパクトのある食材が並ぶ。どれもシェフが生産者を訪ね、生産者の姿勢に共鳴した素材だ。力強い素材に負けぬよう、野菜にも徹底してこだわる。埼玉の農家から届く朝摘み野菜や、千葉のエコファーム浅野の野菜は、健康かつ濃厚な野菜本来の味が、肉や魚のうまみを引き立てる。そんなシェフの思い入れと技が結実した一品が、「根室産“ユック”の蝦夷小鹿」料理。4歳未満の若鹿のみを使用し、低温で火入れした後、燻して焼き色を付けた「瞬間燻製」は牛肉に近い味わい。鹿は冬の食材だが、この店では、1年中食べることができる看板メニューだ。

根室産“ユック”の蝦夷小鹿の瞬間燻製(200g 3780円)。みずみずしいロゼの断面
デザートも美味。オリーブオイルをかけたジャージーヨーグルトのシャーベット(630円)

 オーナーでソムリエの川浪さんがサービス担当。ワインの知識はなくとも心配は無用だ。高価なヴィンテージものよりなるべく安く提供できる良質なもの、肉や野菜本来の持ち味を活かしたシェフの料理に合うものをセレクト。ビオワインも多くそろう。

川浪さんお勧めのシャンパーニュ「フォルジェ ブリモン」(1万500円)
「レ ピエール ショード ピノ ノワール」(7500円)、「ヴァンド ターブル シャソルネィ デュ シュッド」(4500円)。小規模生産者のワインも充実

 食せば体の深い部分で満足感を感じる。自然の恵みを味わうことができる店だ。

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店から一言


シェフ、秋山直宏さん。わずかな休みを利用して、各地の生産者の元を訪ねる


安全を確認できる食材を使いたい
その思いを追求した答えが「国産」でした

 肉や魚、野菜、すべての食材は、素材自体が健康でないと食べて旨いと感じる味は出せないと思います。そのためには、自然に近い環境で育てられる必要がある。それを常時確認、管理できる食材を突き詰めたら、国産という答えが出てきました。

 例えば、生ハムと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、スペインのハモンイベリコだと思います。しかし当店でお出ししているのは、鹿児島産放牧黒豚の生ハム。埼玉で30年前から生ハム作りを続けている「セラーノ工房」尾島博さんが、添加物を使用せず、塩だけで長期熟成させ作られる絶品です。豚もハムも国産。締まった肉質、塩の辛みと上質な豚本来の旨みをぜひいちど召し上がって下さい。

 鱒も、水温が一定の芝川の水で2~3年かけて育てられる「富士功刀さんの鱒」を使用しています。これを独特の食感もお楽しみいただけるマリネやカルパッチョにします。メインで出す鹿は、根室の平坦な草原で潮風を受けた草を飼料に、ときに海辺で海水をなめて育った4歳未満の若鹿です。臭みがまったくありません。

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手前、「富士功刀さんの厚切り鱒のマリネ」(1785円)。奥、「鹿児島産放牧豚24ヶ月熟成 尾島さんの “絶品” 無添加生ハム」(1890円)

 自然に近い環境で食材を育てるのは、生産者も苦労の連続です。無農薬で育てる野菜には虫が付きますし、雑草も生えてきます。しかし出荷された野菜は、茎や種までおいしく食べられるものもあるほど、自然のうまみを蓄えています。当店が、困難と闘いながら安全な食材、本当においしい食材を追求している生産者の存在を知っていただく場所になれば幸いです。もちろんそれ以上に、それらの食材を使う理由は、ただ本当においしいからなのですが。

Bistro MARCASSIN

・中央区銀座1-22-11銀座大竹ビジデンス1F

・電話 03-3564-0335

・営業時間 11時半~13時半(ラストオーダー、平日のみ)、18時~9時半(ラストオーダー)

・日曜休

・カードほぼ全て可

(文/佐々木ケイ、写真/小田原リエ)